御譜代町

御譜代町：仙台城下町における特別な6つの町

御譜代町とは、江戸時代の仙台藩、特に仙台城の城下町において、特別な地位を与えられた6つの町を指す総称です。これらの町は、大町、肴町、南町、立町、柳町、荒町から成り、仙台の町人町の中でも上位に位置づけられていました。単に「譜代町」とも呼ばれ、その起源は伊達氏が戦国大名だった頃にまで遡ります。

御譜代町の由来

御譜代町の歴史は、伊達氏が米沢を本拠地としていた時代に始まります。米沢城下には6つの町があり、伊達氏が岩出山、そして仙台へと拠点を移すのに伴い、これらの町も移転しました。そのため、御譜代町は「伊達御供の町」とも表現されることがあります。仙台城下町の建設時には、これらの町は中心部に集められましたが、後に柳町と荒町は奥州街道沿いに移転・再設定されました。

御譜代町の特権

御譜代町は、城下の町人町の中で最上位に格付けされ、様々な特権を享受しました。特に重要なのが、「九月御日市」という特権で、毎年9月の1ヶ月間、当番の町でのみ主要商品の売買が認められました。これは1651年まで続いた特権です。また、1675年までは、各町が特定の商品の専売権を持っていました。しかし、これらの特権は徐々に廃止され、代わりに各町は金銭を納めることで営業の自由化が進みました。特権の衰退とともに「御譜代町」という言葉も使われなくなりましたが、格式としては6町が引き続き上位を占め続けました。

伊達氏に従った移転

「御譜代町」という言葉は、江戸時代初期に編纂された史料「御日市留方」にのみ見られます。仙台の6町の起源は、戦国時代に伊達氏が本拠としていた米沢の6つの町にあります。これらの町人は、伊達政宗が岩出山、そして仙台に移るのに従って移り住みました。町の名前は移転後も引き継がれ、米沢では6町が上杉氏の城下町建設の基礎となり、慶長14年から15年頃まで旧態を保っていました。岩出山では、大学町と肴町が武家屋敷として利用されるなど、規模は縮小されました。

町の序列と構造

仙台の城下町は、武家屋敷、町人屋敷、寺社地に分けられ、町人町には序列が存在しました。御譜代町は、その最上位に位置し、大町、肴町、南町、立町、柳町、荒町の順で並びました。各町には、検断という町役人とその補佐役である肝入が置かれ、町を統治していました。御譜代町の町役人は、町とともに移り住んだだけでなく、戦国時代に伊達氏に従軍して戦ったという由緒を持つ家柄も存在しました。

大町は、仙台の町の中で唯一「○丁目」で分けられており、もともとは一から五丁目までを検断の青山氏が支配していました。しかし、後に一二丁目と三四五丁目に分割され、一二丁目は月行司の輪番制を経て、米川家による年行司の管轄となりました。この分割により、町列の順位が変動し、一二丁目は一時的に序列を下げられることになりました。

九月御日市とその終焉

九月御日市は、御譜代町に認められた特別な市で、毎年9月の1ヶ月間、6町のうち1つの町で市が立ち、他の町での主要17品目の商売が禁止されました。この特権は、米沢時代からの古い習慣と推測されています。しかし、城下町の発展とともに、他の町の商売の妨げとなり、1651年に廃止されました。その後は、城下の商人から集めた御日市銭を6年ごとに分配する方法に変更されました。

町ごとの専売特権

各御譜代町は、特定の商品の専売特権を持っていました。大町一丁目は古着、二丁目から四丁目は木綿・絹布・小間物、五丁目は油、肴町は水産物、南町は八百屋物、立町は穀類、柳町は茶、荒町は麹をそれぞれ専売していました。この特権も、小売については1675年に廃止され、営業税を徴収して各町に分配する方法に変わりました。

町の繁栄と変化

江戸時代中期以降も、6町は町列の上位を維持しましたが、それぞれの町が個別にその古い由緒を唱える状況になりました。経済的な特権は、個々の町を基盤とする商人組織に与えられるようになり、6つの町は仙台の24の町の中でも比較的繁栄しました。特に大町は、国分町と並ぶ中心商業地として発展しました。しかし、火災による消失が頻繁に発生し、江戸時代初期の建物はほとんど残っていません。

明治時代以降の御譜代町

明治時代に入ると、御譜代町の特権は完全に廃止され、武家町と町人町の区別もなくなりました。6町は引き続き商業地として存続しましたが、新興の商店街に押される所も出てきました。それでも、旧御譜代町には立派な蔵造りの店が残り、古い城下町の面影を残していました。

1945年の仙台空襲は、仙台の都市構造に大きな変化をもたらしました。大町は中心的な商店街として残ったものの、肴町と立町は中高層の住宅地、南町は業務街の一角へと変貌しました。柳町と荒町は、小規模な商店街として現在も残っています。仙台初売りは、米沢時代の商習慣が御譜代町の移転とともに持ち込まれたとされています。

御譜代町の歴史は、仙台の発展と変遷を物語る上で重要な要素であり、その名残は今もなお、仙台の街の随所に見ることができます。

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