徳川義礼

徳川義礼：尾張徳川家の当主とその生涯

徳川義礼（とくがわよしあきら、1863年10月31日-1908年5月17日）は、明治時代の華族、政治家であり、尾張徳川家の第18代当主として知られています。彼は旧讃岐高松藩主松平頼聰の次男として生まれ、幼名は晨若でした。

義礼の生涯は、養子縁組から始まります。1876年、旧尾張藩主徳川慶勝の婿養子となり、尾張徳川家の後継者として迎え入れられました。そして1880年、正式に家督を相続し、尾張徳川家の当主となりました。

1884年、華族令の制定に伴い、義礼は侯爵に叙せられます。同年、イギリスへ留学。この留学経験は、彼の人格形成に大きな影響を与えたと考えられています。帰国後、キリスト教への傾倒が見られたという記録も残されています。

1890年、帝国議会が開設されると、義礼は貴族院侯爵議員に就任。政治の世界に身を投じました。しかし、彼の私生活は常に注目を集め、様々な噂が飛び交っていました。特に1891年には、芸妓との関係が原因で、旧尾張藩士らから養子縁組解消を求める大きな騒動が起こりました。この騒動は、徳川家達ら徳川一門の仲裁によって収束したものの、義礼の私生活の乱れを示す出来事として記憶されています。

義礼は神奈川県大磯町に別荘を所有していましたが、現在その跡地には大磯町立大磯中学校が建っています。この地は、義礼の足跡を感じさせる場所として、地域住民に親しまれています。

1908年、義礼は徳川義親（松平春嶽の五男）を長女・米子の婿養子として迎えました。しかし、同年、義礼は病没。家督は義親が継承することとなります。

義礼の栄典は数多く、侯爵位をはじめ、様々な勲章や褒章を受けています。これらの栄典は、彼が華族としての地位を確固たるものとし、社会的地位を築き上げたことを示しています。

彼の生涯は、華族としての栄光と私生活の影、そして時代の変遷を反映した複雑なものでした。義礼の足跡は、明治時代の歴史を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

家族

父：松平頼聰（旧高松藩第11代藩主）
養父：徳川慶勝（旧尾張藩第14代・17代藩主）
正室：登代姫（慶勝の四女、のち離婚）
継室：良子（慶勝の七女）
長女：米子（徳川義親夫人）
養子：徳川義親（尾張徳川家第19代当主）

栄典（抜粋）

1884年（明治17年）7月7日 - 侯爵
1887年（明治20年）12月26日 - 正五位
1898年（明治31年）6月20日 - 従三位
1903年（明治36年）6月30日 - 正三位
1908年（明治41年）5月17日 - 勲三等瑞宝章

参考文献

衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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