徳音寺

徳音寺

徳音寺は、長野県木曽郡木曽町日義に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。日照山を山号とし、木曽七福神霊場（毘沙門天）、中部四十九薬師霊場二十二番札所として知られています。

歴史

創建

徳音寺の起源は、仁安元年（1166年）に中原兼遠が木曾義仲の元服を祝し、源氏再興を祈願して建立した柏原寺に遡ります。開山は真言宗の圓成阿闍梨でした。義仲の母である小枝御前が亡くなると、柏原寺に手厚く葬られました。

義仲の菩提寺へ

寿永3年（1184年）に義仲が粟津の戦いで戦死すると、大夫房覚明が位牌を納め、寺号を義仲の法名から徳音寺に改めました。山号も朝日将軍と称された義仲にちなみ、日照山としました。その後、二度の水害により古文書などが流出し、一時衰退しましたが、開山の圓成の位牌のみが残りました。

中興と現在

天文13年（1544年）に木曽川の洪水で義仲の持仏である十一面観音が漂着し、祀られたことが契機となり、徳音寺の伽藍の一部が洪水で流されたものと考えられています。この十一面観音は現在、岐阜県中津川市の高徳寺に祀られています。天正7年（1579年）、大安によって中興され、臨済宗妙心寺派に改宗しました。延宝元年（1673年）と正徳4年（1714年）の水害で埋没したため、享保元年（1716年）に現在地に移転再建されました。元の地は現在も徳音寺の寺領であり、開山の圓成の墓が残っています。

境内

鐘楼門

享保8年（1723年）に木曾義陳の発願により建立されました。尾張藩の家老である成瀬正幸の母堂が施主となり、大和流の棟梁によって建てられたことを示す棟札が残っています。享保10年（1725年）には、成瀬正幸の母の寄進により梵鐘が鋳造されました。「徳音寺の晩鐘」は「木曽八景」の一つとして、中山道を通行する旅人に親しまれていましたが、太平洋戦争中に金属回収のため供出され失われました。昭和26年（1951年）に再鋳されましたが、鐘銘は元のままです。

本堂

寛政5年（1793年）に再建された切妻造の本堂です。本堂の前には、巴御前の騎馬像とつらぬき石があります。

瑠璃堂（御霊屋）

明和3年（1766年）に再建されました。本尊は薬師如来で、義仲の木像と一族の位牌が安置されています。

龍神堂

天保14年（1843年）に再建されました。本尊は善女龍王です。

庫裡

間口十一間、奥行八間の建物です。

木曾義仲公霊廟

天明年間（1781年 - 1789年）に建立された入母屋造の霊廟です。義仲一族の位牌が安置されており、昭和50年（1975年）には笹村草家人が作成した等身大の義仲像が奉納されました。

木曾義仲公墓地

義仲を中心に、小枝御前、巴御前、樋口兼光、今井兼平ら一族の墓があります。明治24年（1891年）には、正岡子規が徳音寺を訪れ、義仲の墓を参拝しました。

宣公郷土館

昭和43年（1968年）に大安の350回忌を記念して建てられました。館内には、樋口兼光、今井兼平、巴御前の直筆の手紙、義仲の守り本尊である兜観世音菩薩、陣羽織、伝樋口甲、義仲に関する画像、巴御前の長刀、義仲が愛蔵した品々、宮ノ越宿関連の古文書などが展示されています。

関連リンク

銅造阿弥陀如来立像　長野県木曽町公式サイト
徳音寺山門　長野県木曽町公式サイト
宣公郷土館　長野県公式観光サイト

参考文献

『日義村誌 歴史編（上巻）』
『日義村誌 歴史編（下巻）』
『探訪・信州の古寺〈第III巻 禅宗〉』
『寺と神社（信州の文化シリーズ）』
『木曾義仲のすべて』
『長野県史 美術建築資料編』
『信州休日の社寺巡り』

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