心霊科学研究会

心霊科学研究会

心霊科学研究会は、1923年（大正12年）3月に浅野和三郎によって東京府東京市本郷区（現在の東京都文京区本郷）に設立された心霊研究団体です。

概要

設立の背景

浅野和三郎は、海軍機関学校の英語教官を務めていましたが、宗教団体である大本との出会いをきっかけに様々な霊現象に遭遇しました。1916年（大正5年）に海軍機関学校を退官し、当時最も実践的な心霊研究を行っていた大本に入信しました。

教団内で有力な信者として活躍していた浅野でしたが、1921年（大正10年）の第一次大本事件による弾圧を受け、1922年（大正11年）11月からは独自の心霊研究体制を模索するようになります。

研究会の発足と活動

1922年（大正11年）12月5日、「心霊科学研究会」結成のための最初の集会が東京神田一ツ橋外の学士会館で開催されました。翌1923年（大正12年）3月23日には、同じ学士会館で約50名の参加者を得て「心霊科学研究会」の創立大会が盛大に挙行されました。この大会で、本部事務所を東京本郷の中野邸に置き、機関誌『心霊研究』を発刊することが決定されました。

しかし、同年9月1日に発生した関東大震災を機に、研究会は東京を離れ、一時的に大阪に本部を移して活動を継続しました。浅野は、大本を離れた後、1925年（大正14年）7月11日に京都綾部を出て神奈川県横浜市鶴見に自宅を構え、最終的にこの自宅を本部としました。機関誌『心霊研究』はその後、『心霊界』、そして『心霊と人生』と改名され発行されました。浅野は1929年（昭和4年）には、東京での活動のために「東京心霊科学協会」も設立しました。

戦後の再編と現在

1937年（昭和12年）2月に浅野が急逝した後も、彼の兄である浅野正恭らによって「心霊科学研究会」および「東京心霊科学協会」の活動は続けられていましたが、太平洋戦争の激化により活動は休止を余儀なくされました。『心霊と人生』誌も1944年（昭和19年）4月に休刊となりました。

戦後の1946年（昭和21年）12月、弁護士の吉田正一（妻の吉田綾は霊媒として知られています）が中心となり、旧「東京心霊科学協会」のメンバーによって「日本心霊科学協会」が設立され、2ヶ月後には機関誌『心霊研究』が再び発行されました。浅野正恭や脇長生（『心霊と人生』の編集者兼霊能者）もこれに参加していましたが、立場の違いから浅野正恭と脇長生は1949年（昭和24年）に「日本心霊科学協会」を脱退し、「心霊科学研究会」を復活させました。同年4月には『心霊と人生』も復刊されました。

「心霊科学研究会」は、1959年（昭和34年）に「日本スピリチュアリスト協会」と改称し、浅野正恭（1954年没）と脇長生（1978年没）の両名が亡くなった現在も活動を続けています。

参考文献

三浦清宏 著『近代スピリチュアリズムの歴史』 講談社 ISBN 4062146754、2008年4月 ISBN 978-4-06-214675-3

関連項目

心霊主義
スピリチュアリティ
スピリティズム
超心理学
霊魂

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