忍海大国

忍海大国（おしうみ/おしのみ の おおくに）は、飛鳥時代に生きた人物であり、姓は造（みやつこ）です。冠位は小錦下（しょうきんげ）でした。

経歴

彼の名が登場するのは、『日本書紀』の天武天皇3年（674年）3月7日の条のみです。この日、対馬国司守であった忍海造大国は、「銀が初めて当国から産出しましたので、献上いたします」と朝廷に報告しました。この功績により、大国は小錦下の位を授けられました。

この出来事は、対馬国だけでなく日本全体における銀鉱山発見の最初の記録として非常に重要です。当時の日本は、資源に乏しく、特に金属資源の確保は国家的な課題でした。そのため、銀の発見と献上は、朝廷にとって大きな喜びであり、大国の功績は高く評価されたのです。

小錦下の位を授けられたことからも、朝廷が大国に寄せた期待の大きさがうかがえます。しかし、残念ながら、忍海大国に関する他の事績はほとんど知られていません。彼がどのような人物であったのか、どのような政治的な役割を担っていたのかなど、詳しいことは分かっていません。

それでも、彼が日本の鉱山開発史に名を残す人物であることは間違いありません。彼の発見と献上が、その後の日本の金属資源開発に繋がった可能性も考えられます。忍海大国の存在は、古代日本の歴史を考える上で、重要な示唆を与えてくれると言えるでしょう。

参考文献

小島憲之、直木孝次郎、西宮一民、蔵中進、毛利正守校注・訳　『日本書紀（三）』、小学館、新編日本古典文学全集4、1998年、ISBN 4-09-658004-X。
坂本太郎、家永三郎、井上光貞、大野晋校注　『日本書紀（五）』、岩波文庫、1995年、ISBN 4-00-300045-5。（1993年刊の、岩波書店・新装版日本古典文学大系『日本書紀』を文庫化）。
* 太田亮『姓氏家系大辞典』　角川書店、1963年、ISBN 4-04-030200-1。

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