志津川 (南三陸町)

宮城県南三陸町 志津川

志津川（しづがわ）は、宮城県本吉[[郡]]南三陸町に位置する地域です。かつては志津川村、荒砥浜、清水浜といった集落から成り、本吉[[郡]]の中心地として「本吉本郷」とも呼ばれていました。この地は、豊かな自然と複雑な地形が特徴で、歴史と文化が深く刻まれています。

地理

志津川は、南三陸町の4つの大字の一つであり、入谷、戸倉、歌津とともに町を構成しています。八幡川や水尻川などの河口平野と、荒砥浜、清水浜、細浦などの海浜集落が点在しています。北から北東にかけては歌津、西は入谷、南は戸倉と接し、東は太平洋（志津川湾）に面しています。

集落

清水浜: 志津川から気仙沼へ向かう東浜街道沿いに位置する集落。江戸時代には独立した藩政村であり、細浦が中心地でした。清水が湧き出る田地があったことが地名の由来とされています。
荒砥浜: 志津川湾の北岸、荒砥崎近くの集落。荒砥崎の岩質が荒砥石であったことが地名の由来です。奇岩が点在し、松やタブの木が茂る景勝地です。

山々

惣内山: 標高379.5m。志津川市街の北方に位置し、アイヌ語で「滝のある川」を意味する「ソーナイ」が由来とされています。
保呂羽山: 標高372m。志津川、入谷、戸倉の境界に位置し、かつては本吉山とも呼ばれていました。戸倉の保呂羽山と区別するため、男保呂羽山と呼ばれています。
貞任山: 標高360.3m。志津川の北端、歌津との境界にそびえます。
大森山: 標高244.6m。新井田川と磯の沢川の源流域に挟まれて位置しています。

河川

八幡川: 町内で最も広い流域面積を持つ二級河川で、古くは町裏川とも呼ばれていました。
水尻川: 二級河川で、志津川湾に注ぎます。
秋目川
桜川: 二級河川で、地域を潤しています。
蛇王川
新井田川: 二級河川で、大森山の麓を流れます。
大上坊川

島・崎

荒島: 落葉広葉樹林、常緑樹林、針葉樹林の3種類のバイオームが存在する島。国際認証森林に登録されており、入島にはルールがあります。
野島: 荒砥崎の東約1.3kmに位置する細長い島で、タブノキやアカマツの自然林が形成されています。
出臍島: 荒島の北北東に位置し、ホッキ島とも呼ばれています。
二見島: 荒砥の権現集落の前に位置する島。
平島: 荒砥の権現集落の前に位置する島。
弁天島: 荒島から南へ連なる岩礁。
モアイ岩: 出臍島の隣に位置する岩。
作根: 野島の南約1.4kmに位置する小さな岩礁。
荒砥崎
伏房崎
大森崎
弁天崎

小字

志津川には、多くの小字が存在し、それぞれが歴史的な背景を持っています。明治時代や安永時代の小字名が記録されており、地域の歴史を知る上で貴重な情報となっています。

歴史

中世

志津川は、かつて摂関家の荘園である本吉庄に含まれていました。奥州藤原氏がこの地を支配し、その後、葛西氏の一族である本吉氏が領主となりました。本吉氏は馬籠氏との間で度々争いを繰り広げ、最終的に勢力を失いました。

近世

江戸時代には仙台藩に属し、気仙道が整備されたことで宿場町として発展しました。五日町と十日町には宿場が設けられ、交通の要所として賑わいました。

近代

明治時代になると、志津川村、荒砥浜、清水浜が合併して本吉村となり、後に町制を施行して志津川町となりました。製糸業が盛んになり、旭製糸が設立されましたが、昭和恐慌によって衰退しました。また、郡役所が設置されたものの、気仙沼との間で郡役所の移転を巡る争いが起きました。

現代

戦後は、数々の災害に見舞われながらも、復興を遂げてきました。東日本大震災では甚大な被害を受けましたが、高台移転や区画整理事業を通じて新たな街づくりが進められています。

災害

天明の飢饉

天明の飢饉では、冷害によって農作物が不作となり、多くの餓死者が出ました。物価が暴騰し、人々の生活は困窮を極めました。

明治三陸津波

1896年の明治三陸地震では、大津波によって沿岸部が壊滅的な被害を受けました。特に清水浜と細浦では多数の死者が出ました。

志津川大火

1937年、五日町の銭湯から発生した火災により、市街地の大部分が焼失しました。

昭和三陸津波

1933年の昭和三陸地震では、津波によって家屋が損壊し、住民が負傷するなどの被害が出ました。

東日本大震災

2011年の東日本大震災では、巨大な津波によって壊滅的な被害を受けました。多くの人々が犠牲となり、街は瓦礫の山と化しました。しかし、その後、復興に向けた取り組みが進められ、新しい街が形成されつつあります。

施設

志津川には、南三陸町地方卸売市場、南三陸311メモリアル、南三陸さんさん商店街などの商業施設、公共施設があります。また、志津川小学校、志津川中学校などの教育施設や、南三陸病院などの医療施設も地域住民の生活を支えています。

交通

鉄道は、かつてJR気仙沼線が通っていましたが、東日本大震災で被災し現在は廃線となっています。現在はBRT（バス高速輸送システム）が運行されています。道路は、三陸沿岸道路、国道45号、国道398号などが通っています。

教育

志津川地区には、志津川小学校、志津川中学校があります。かつては寺子屋や私塾が数多く存在していましたが、学制の施行とともに小学校が設置され、地域の教育を担ってきました。

宗教

志津川には、熊野神社、八幡神社、須賀神社などの神社や、松林山大雄寺、安養山徳性寺などの寺院があります。また、オコナイサマという独特な民間信仰も存在しています。

文化財と遺跡

志津川には、朝日館、小森館、平磯館などの遺跡や、大久保貝塚などの文化財が残されています。これらの史跡は、地域の歴史を物語っています。

伝説・伝承

志津川には、安倍貞任や弘法大師に関する伝説が語り継がれています。

安倍貞任に関する伝承

大上坊川の上流には、安倍貞任が隠れていたという伝承が残っています。

弘法大師に関する伝承

桜川に鮭が上らなくなったのは、弘法大師が川に石を投げ入れたためであるという伝承が残っています。

脚注

注釈

出典

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 4 宮城県、角川書店、1979年12月1日。
菊池勝之助 編『宮城県地名考 地方誌の基礎研究』（更新版）鈴木武夫、1972年6月15日。
『二級河川志津川圏域河川整備計画』宮城県、2016年9月。
南三陸町 編『南三陸町東日本大震災記録誌』南三陸町、2024年3月。
志津川町史
志津川町誌編さん委員会 編『志津川町誌』 2巻、志津川町、1989年11月1日。
志津川町誌編さん委員会 編『志津川町誌』 3巻、志津川町、1991年10月1日。
谷謙二「小地域別にみた東日本大震災被災地における死亡者および死亡率の分布」『埼玉大学教育学部地理学研究報告』第32号、埼玉大学教育学部地理学研究室、2012年、1-26頁。
永井孝弥、谷澤寛、角美咲「BRTの速達性・定時性に影響を与える要因に関する研究－JR気仙沼線BRTを事例に」『交通工学論文集』第9巻第2号、埼玉大学教育学部地理学研究室、2023年、16-23頁。

関連項目

志津川 - 曖昧さ回避。
志津川町

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