怖駭経

『怖駭経』について

『怖駭経』（ふがいきょう）、または『恐怖経』（きょうふきょう）は、パーリ語の仏典の一部であり、経蔵の中部に位置する第4経です。この経典は、釈迦の教えを通じて生命の恐怖や煩悩への対処、そして利他行の意義について深く掘り下げています。

登場人物と場面設定

物語は、釈迦がコーサラ国のサーヴァッティ、特にアナータピンディカ園に滞在している際に始まります。この地は、仏教徒にとって非常に重要な場所であり、釈迦が教えを広めるための拠点でもありました。そこへ、バラモンの一人であるジャーヌッソーニが訪れることになります。彼は、森林行に伴う恐れについて釈迦に質問しようとしています。

教えの展開

釈迦は、ジャーヌッソーニの問いに丁寧に応じていきます。まず彼は、三業（身・口・意）や三毒（貪・瞋・痴）など、仏教における基本的な教義を紹介します。これによって、私たちの行動や思考がどのように恐れや苦しみを生み出すかを明らかにし、その理解を深めさせます。

次に、釈迦は四禅の境地、三明、そして三解脱といった高い瞑想状態についても言及し、心の安定と解放の重要性を説きました。これらの教えは、人生における様々な恐怖に立ち向かう力を与えてくれます。

最後に、ブッダは自身が利他行のために此岸や輪廻の境界に留まっていることを強調します。この教えは、ただ自己を超えて他者のために生きることがいかに大切であるかを示しています。ジャーヌッソーニは、釈迦の深い教えに感動し、ついには仏教の三宝（仏・法・僧）に帰依することを誓います。

まとめ

『怖駭経』は、恐れと向き合うことを通じて、どのようにして自己の内なる平和を見つけるかを教えてくれる重要な経典です。この経典を通じて、私たちは煩悩の本質やそれに対する解決策を深く理解し、他者への奉仕の重要性を再確認することができます。また、この教えは、日常生活においても役立つ知恵をもたらすことでしょう。

解説書

この経典の日本語訳には、以下のような資料が含まれます。

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典1』（第9巻）、大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）根本五十経篇I』、片山一良訳、大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典1』（第4巻）、中村元監修、春秋社

このように、『怖駭経』は古典的な教えを現代に生かすための貴重な資料となっており、より深い理解を得るために多くの人々に読まれ続けています。

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