急性膵炎

急性膵炎について

急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が発生する病状で、その原因や症状、診断法、治療に関する知識が不可欠です。特に成人における主な原因はアルコールと胆石であり、それぞれの地域によって発生率は異なります。

成因

成人の場合、主な原因の一つであるアルコール摂取や胆石症は、再発リスクを抑えるため、適切な管理が求められます。胆石が原因の場合、胆嚢摘出手術が有効な手段ですが、アルコール性の急性膵炎では禁酒が重要です。また、特発性や内視鏡的逆行性胆道膵管造影（ERCP）後の膵炎、高TG血症、膵胆管合流異常など、他にも多くの原因が存在します。HIV感染者に特有の薬剤性の急性膵炎も報告されています。小児においては、流行性耳下腺炎やマイコプラズマ感染が関与することが多く、抗がん剤や抗てんかん薬による影響も考慮されます。

症状

急性膵炎の主症状としては、上腹部の激しい痛みや悪心、嘔吐、麻痺性イレウス、背中の痛み、発熱などがあります。また、カレン徴候やグレイ・ターナー徴候といった皮膚症状も見られることがあります。これらの症状が見られた場合は、早急な診断と治療が必要です。

検査

急性膵炎の診断には、血液検査や尿検査が用いられます。

• - 血液検査：膵酵素（リパーゼやアミラーゼ）の上昇が顕著であり、特にリパーゼの上昇は特異度や感度で優れています。急性病態の重篤さを探るために、WBCやCRPなどの指標も確認します。
• - 尿検査：尿中のアミラーゼおよびトリプシノーゲンの測定が行われ、特に尿中トリプシノーゲン-2のディップスティック検査は高い感度と特異度が確認されています。
• - 画像検査：CTや超音波検査によって、膵臓の腫大や胆石の存在を確認し、他の疾患との鑑別を行います。

診断基準

診断は、急性胃痛や膵酵素の上昇、画像検査による異常所見など、3つの基準を元に行います。これらのうち2項目以上を満たす場合に急性膵炎と診断されます。入院治療が必要で、重症度に応じた適切な医療機関への搬送が求められます。

重症度評価

重症急性膵炎は致死率が非常に高く、48時間以内に評価が重視されます。Ranson基準やGlasgowスコア、APACHE IIスコアなどが使用され、これらに基づいて重症度が判定されます。特に、急性膵炎によってショックや多臓器不全が生じた場合、致命的な結果を及ぼすことがあります。

合併症

急性膵炎には仮性膵嚢胞や壊死部感染、内分泌機能の低下といった合併症が関連しており、これらの合併症は予後に大きな影響を与えることがあります。

予後

軽症から中等症の急性膵炎は致死率が数パーセントですが、重症の場合は30％以上に達します。また、急性膵炎は慢性への移行もあり、その頻度は3～15％とされています。

動物における急性膵炎

犬や他の動物でも急性膵炎は見られ、特に中年以降の犬では激しい嘔吐や腹痛が特徴です。

急性膵炎は医療上の重要な疾患であり、多様な症状や合併症を伴いますので、早期の診断と対応が求められます。

もう一度検索