恐れを知らぬ川上音二郎一座

舞台『恐れを知らぬ川上音二郎一座』

2007年にシアタークリエで初演された三谷幸喜作・演出の舞台作品です。明治時代に実在した型破りな演劇人、川上音二郎を主人公に、妻であり日本初の女優である川上貞奴、そして劇団員たちとの人間模様をコミカルに描いた群像劇となっています。芸術座の跡地に新設されたシアタークリエの杮落とし作品として上演され、三谷幸喜自身が演出を手掛けました。

概要

この舞台は、川上音二郎という人物の奔放でエネルギッシュな生き様を通して、当時の演劇界の様子を垣間見ることができます。また、妻である貞奴との愛情あふれる夫婦関係や、劇団員たちの個性豊かなキャラクターが、物語に深みを与えています。特に、言葉や文化の壁に苦労しながらも、持ち前のユーモアと機転で困難を乗り越えていく姿は、観客に笑いと感動を与えます。三谷幸喜ならではの軽快な会話劇と、個性的なキャラクターたちが織りなすドタバタ劇は、観る者を飽きさせません。

この作品で三谷幸喜は、第7回朝日舞台芸術賞・秋元松代賞を受賞しました。これは、本作と同時期に上演された『コンフィダント・絆』での作・演出も含まれており、三谷の才能を高く評価した結果と言えるでしょう。

あらすじ

物語は、明治32年、俳優、演出家、プロデューサー、そして劇団主宰者である川上音二郎が、妻の貞奴と劇団員を引き連れ、アメリカ巡業に旅立つところから始まります。言葉も文化も違う異国での巡業は、困難の連続です。弁護士に売り上げを持ち逃げされたり、俳優がストライキを起こしたりと、次々とトラブルが起こります。そんな中、彼らはボストンの街で、イギリスの名優ヘンリー・アーヴィングが演じる『ヴェニスの商人』の盛況ぶりを目の当たりにします。これに触発された音二郎は、なんとたった一晩の稽古で、日本版『ヴェニスの商人』をでっち上げてしまうのです。デタラメな台詞と、言葉に詰まれば「スチャラカポコポコ」という謎の言葉で乗り切るという、無茶苦茶な公演を外国人観客に向けて行うことになります。

初演

劇場・期日：シアタークリエ、2007年11月7日～2007年12月30日

キャスト：
川上音二郎：ユースケ・サンタマリア
川上貞奴：常盤貴子
津田山蔵人：浅野和之
飯尾床音：今井朋彦
伊藤カメ：堀内敬子
大野熊吉：阿南健治
助川タエ：戸田恵子
小村寿太郎：小林隆
ホイットモア夫人：瀬戸カトリーヌ
野口精一：新納慎也
綿引哲人：小原雅人
伊達実：堺雅人
甲本与之助：堺正章

スタッフ：
作・演出：三谷幸喜
美術：堀尾幸男
照明：服部基
衣装：黒須はな子
音響：井上正弘
ヘアーメイク：河村陽子
舞台監督：松坂哲生
邦楽：杵屋五七郎
邦楽作曲：鳥羽屋長秀
作曲：萩野清子
プロデューサー：小林香、小嶋麻倫子
スーパーヴァイザー：宮崎紀夫

参考文献

* 「恐れを知らぬ川上音二郎一座」初演時パンフレット

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