恩山寺

恩山寺（おんざんじ）

恩山寺は徳島県小松島市田野町に位置する高野山真言宗に属する寺院です。別名を母養山宝樹院と称し、本尊に薬師如来を祀っています。この寺は四国八十八箇所の第十八番札所としても知られています。

本尊とご詠歌

恩山寺の本尊に対する真言は「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」であり、これにより信者は薬師如来に対しての祈りを捧げます。また、この寺院には特有のご詠歌も存在し、「子を生める その父母（ちちはは）の恩山寺　訪（とぶ）らいがたきことはあらじな」と歌われ、訪れる人にとっての安らぎの場所とされています。

歴史

恩山寺の歴史は古く、聖武天皇の勅命により行基が開基とされています。当初は「大日山福生院密厳寺」と名付けられ、女人禁制の道場でした。このため、上に位置する「花折り坂」以降は女性の立ち入りが禁じられていました。

弘仁5年（814年）に弘法大師空海がこの寺を訪れ、母親のために修行を行ったことが功を奏しました。その結果、女性の立ち入りが認められるようになり、このことから「恩山寺」という名が付けられました。その後、文保2年（1318年）には源空によって再興され、天正年間（1573年 - 1592年）には戦火による焼失を経て、江戸時代に徳島藩主蜂須賀氏の支援を受けて復興しました。現在の主要な建物は文政年間（1804年 - 1830年）に建立されたものです。

境内の構成

境内にはさまざまな建物が点在しています。

• - 山門（仁王門）: 遍路道に位置し、車道からは離れています。
• - 本堂: 2014年に前立仏が開帳されました。
• - 大師堂: 本尊として空海自刻の像が祀られています。
• - 御母公堂: 玉依御前の像が安置されていますが、参拝できません。
• - 地蔵堂: 釈迦の十大弟子像や地蔵菩薩像が祀られており、すべて拝観可能です。
• - 鐘楼: 境内には鐘楼もあります。

また、特に重要な存在である毘欄樹は、弘法大師によって植えられたとされています。この木は境内の特徴的な景観を形成しています。

文化財と交通案内

恩山寺は国の史跡としても指定されており、周辺には阿波遍路道が整備されています。周囲には他の霊場も多く点在し参拝者を魅了しています。交通面では、JR四国の南小松島駅から徒歩でアクセス可能で、バス路線も整備されています。

奥の院と周辺の霊場

恩山寺の奥の院である金礒弁財天についても触れておきます。空海が訪れた際に女神と語り合った伝説があります。この地では弁財天を祀っており、納経や御影の授与が行われています。周辺には「弘法大師お杖の水」や「釈迦庵おむつき堂」など、空海にまつわる伝説や文化財があります。

このように、恩山寺は歴史や文化が豊富な霊場で、多くの人々にとって特別な意味を持つ場所です。

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