悟渓宗頓

悟渓宗頓（ごけいそうとん）

生涯

悟渓宗頓は、室町時代の応永22年（1415年）に尾張国丹羽郡南山名村（現在の愛知県丹羽郡扶桑町南山名）に生まれました。幼くして出家し、瑞泉寺（現在の愛知県犬山市）にて妙心寺四祖である日峰宗舜に師事し、本格的な禅の修行を始めました。その後、愚渓寺（現在の岐阜県可児郡御嵩町）の義天玄承、汾陽寺（現在の岐阜県関市武芸谷）の雲谷玄祥、そして大樹寺（現在の三重県四日市市市場町）の桃隠玄朔の下で参禅を重ねました。

京都に移ってからは、龍安寺の住持であり、妙心寺六祖でもある雪江宗深に師事し、印可を得ました。この時、雪江宗深から「悟渓」の名を与えられました。応仁元年（1467年）には、戦火を避けて瑞泉寺に戻り、臥龍庵に住むようになりました。

翌年の応仁2年（1468年）、斎藤妙椿の招きによって、土岐成頼の菩提寺である瑞龍寺（現在の岐阜県岐阜市）を建立しました。文明3年（1471年）には大徳寺52世住持に就任し、文明12年（1480年）に再度大徳寺の住持を務めました。文明16年（1484年）には、景川宗隆の後任として妙心寺11世住持となり、東海庵を開きました。晩年は瑞龍寺に戻って後進の育成に励み、また瑞泉寺にも住まい、徳林寺（現在の愛知県丹羽郡大口町）を開山しました。

明応6年（1497年）には、勅により大興心宗禅師の号を賜り、明応9年（1500年）に瑞龍寺済北院にて86歳で入寂しました。後に仏徳広通国師と諡られました。

業績と影響

悟渓宗頓は、その生涯において多くの寺院の建立と運営に携わり、禅宗の発展に大きく貢献しました。特に、妙心寺東海派の開祖として、多くの弟子を育成し、その教えを広めました。

悟渓宗頓の法を継いだ主な弟子には、天従宗受、西川宗洵、仁済宗恕、玉浦宗珉、寿岳宗膨、瑞翁宗縉、独秀乾才、興宗宗松の八人がおり、彼らは「悟渓下八哲」と呼ばれ、濃尾地方に広くその法を伝えました。

また、悟渓宗頓の残した法語は、『虎穴録』としてまとめられ、後世の禅宗修行者にとって重要な文献となっています。

参考文献

『新版禅学大辞典』
『妙心寺 650年の歩み』

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