斎藤妙椿

斎藤妙椿の生涯と功績

斎藤妙椿（さいとう みょうちん）は、室町時代から戦国時代にかけて活躍した武将であり、僧でもあった。彼は美濃守護代・斎藤宗円の子もしくは弟とされ、甥にあたる斎藤利藤の後見役を務め、政治・軍事の両面でその存在感を示した。彼の妻は伊勢北畠氏の出身であり、一女をもうけている。また、養女に甘露寺元長の娘（後に織田敏広の妻となる）を迎えた。

妙椿という法名のもと、善恵寺に子院「持是院」を設けたことから、持是院妙椿とも知られるようになった。彼の家系は斎藤氏の惣領家に対し、持是院家と呼ばれる。一般的には美濃守護代として知られているが、実際にはその職には就任していなかった。

幼少期からの修行

生誕は応永18年（1411年）で、幼少期から出家し、善恵寺で僧として修行を積んだ。彼は宝徳2年（1450年）に妙覚寺から世尊院日範を招いて常在寺を建立し、持是院で長い間僧として生活を送った。しかし、長禄4年（1460年）の兄・斎藤利永の死後、甥の斎藤利藤を後見するため加納城に移った。ここにも持仏堂と居庵を設けて持是院と称した。

政治と戦の舞台

妙椿は美濃守護・土岐成頼の配下であると同時に、足利将軍家に直臣として仕えたが、美濃地域を含む数か国の支配も企てていた。後に彼は室町幕府奉公衆となり、官位も土岐成頼の従五位下を超えて従三位権大僧都に昇進している。

応仁の乱では、成頼と共に山名宗全の西軍に属し、上洛中の成頼に代わって、東軍の富島氏、長江氏、京極氏と戦った。応仁2年（1468年）10月までに彼はこれらの勢力を排除し、美濃国内を平定することに成功した。一方で、多くの荘園を押領し、主家・土岐氏を上回る勢力を築くに至った。

文明元年（1471年）には近江国内へ進攻し、東軍の京極政経および多賀高忠軍を撃破した。また、文明5年（1473年）には長野氏を支援するため伊勢へ出兵し、梅戸城を落城させるなど、その軍事的才能を発揮した。

文化人との交流

一条兼良、宗祇、万里集九などの文化人とも親交があり、特に一条兼良は応仁の乱の最中に妙椿に招かれ、連歌に参加した。妙椿の文化的な影響力は彼の軍事的手腕にも匹敵するものであり、多くの文化活動を支援した。

死とその後

文明11年（1479年）2月、可児郡明智で隠退し、文明12年（1480年）11月21日に68歳で死去した。瑞龍寺に葬られ、法名は開善院殿権大僧都 大年妙手椿公居士とされている。彼の死後、甥で養子の斎藤利国を重用するように成頼に遺言しており、そのために利国と利藤の間で兄弟争いが激化することになった。

このように斎藤妙椿は武将としてだけでなく、僧侶、政治家、文化人としても多彩な顔を持ち、その活動は室町時代・戦国時代において重要な役割を果たした。

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