惟宗広言

惟宗広言（これむねのひろこと）は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての人物で、貴族かつ歌人として知られています。父は日向守を務めた惟宗基言です。官位は従五位下まで昇り、筑後守にも任じられました。

経歴

文章生として学問を修めた後、大宰少監や式部丞といった官職を歴任しました。久寿2年（1155年）には正六位上に叙され、永暦元年（1160年）には従五位下に叙せられています。文治2年（1186年）には筑後守に任じられました。

歌人としての才能も高く、『言葉集』という私撰集や『惟宗広言集』という家集があります。勅撰和歌集である『千載和歌集』には5首、『玉葉和歌集』には1首が採録されています。また、今様の歌い手としても知られ、後白河法皇に近侍し、その才能を高く評価されました。

系譜

父：惟宗基言
母：不詳
妻：藤原遠宗の娘
男子：惟宗忠久（島津忠久）（？ - 1227年） - 薩摩島津氏の祖
* 男子：惟宗忠季（津々見忠季）（？ - 1221年） - 若狭島津氏の祖

特に、薩摩島津氏の祖である惟宗忠久の父として広く知られています。島津氏に伝わる公式書類においても、惟宗広言が島津氏の祖とされています。惟宗忠久の母については、比企尼の長女（丹後内侍）であるという説がありますが、これは島津氏の史料にのみ見られる記述であり、疑問視する研究者もいます。また、惟宗忠久が広言の実子であるか養子であるかについても議論があり、通字の問題などから、近年では実子説を疑問視する見解も出ています。

広言までの系図は以下の通りです。

惟宗具範 ― 惟宗広考 ― 惟宗貴重 ― 惟宗考近 ― 惟宗孝言 ― 惟宗基言 ― 惟宗広言 ― 惟宗忠久

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