愛のバラード

愛のバラード

「愛のバラード」は、1976年に公開された角川映画第一作『犬神家の一族』のテーマ曲として誕生しました。作曲は大野雄二が担当し、同年に彼とファンタスティック・ブルーによるシングルがリリースされたほか、金子由香利によるボーカルバージョンも発表され、それぞれ異なる魅力を持つ楽曲として広く知られています。

大野雄二とファンタスティック・ブルーによるシングル

このバージョンは、ハンマード・ダルシマーの独特な音色が印象的なインストゥルメンタル曲です。演奏は生明慶二が担当しました。レコーディングにおけるミキシングでは、当初予定されていた伊豫部富治のスケジュールが合わず、急遽吉田保が担当することになりました。このミキシングの出来栄えは素晴らしく、後日伊豫部が聴いた際には、そのサウンドの完成度に驚き、「一番おいしいところを保さんにあげてしまった」と感じたそうです。

1978年には、角川春樹がドキュメンタリー映画『野性号の航海 翔べ 怪鳥モアのように』の撮影中に、航海中の船内でこの曲を聴き、「手前味噌ながら、感慨深い思いを感じた」と述べています。映画のテーマ曲という枠を超え、特別な思い入れのある楽曲であることが伺えます。

収録曲

SIDE A: 愛のバラード (インストゥルメンタル) (4:30)
SIDE B: 憎しみのテーマ (インストゥルメンタル) (3:59)

金子由香利によるシングル

金子由香利によるシングルは、ボーカル入りのバージョンで、1976年にリリースされました。しかし、映画本編や告知用のコマーシャルでは一切使用されなかったため、セールスは伸び悩んだと言われています。この経験が、次作の角川映画『人間の証明』で主題歌が採用されるきっかけになったとされています。

収録曲

SIDE A: 愛のバラード (4:00)
SIDE B: 仮面 (3:18)

カバー

「愛のバラード」は、その美しいメロディーと独特な雰囲気が多くのアーティストを魅了し、さまざまな形でカバーされています。

Sunaga t experience: 2015年発売のアルバム『STE』で、大野雄二とファンタスティック・ブルー版をカバーしました。
薬師丸ひろ子: 2016年発売のアルバム『Cinema Songs』で、金子由香利版をカバーしました。

大野雄二によるセルフカバー

作曲者である大野雄二自身も、自身のプロジェクトやアルバムでこの曲をセルフカバーしています。

You & Explosion Band: 2005年発売のアルバム『Made In Y.O.』で、津軽三味線奏者である上妻宏光をフィーチャーし、新たな解釈でカバーしました。
大野雄二トリオ: 2008年発売のアルバム『LUPIN THE THIRD "JAZZ"「For Lovers Only」』で、ワルツアレンジでカバーしました。

これらのカバーは、「愛のバラード」が時代を超えて愛され、多様な表現で演奏される名曲であることを示しています。それぞれのアーティストの個性が加わることで、原曲とはまた異なる新たな魅力を生み出しています。

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