愛知万博の施設

愛知万博の施設：過去と未来をつなぐ記憶

2005年に開催された愛知万博（愛・地球博）は、121カ国と4国際機関、そして多くの民間企業が参加し、地球規模の課題に対する意識を高め、未来への希望を育む場となりました。ここでは、愛知万博で使用された施設群について詳しく解説します。

長久手会場

長久手会場は、万博の中心となるエリアでした。北ゲート、東ゲート、西ゲートといった入場口のほか、愛・地球博郵便局が設置され、来場者の利便性を高めました。会場の中心には、センターゾーンが設けられ、様々なイベントや展示が行われました。

グローバル・ハウス

グローバル・ハウスは、博覧会協会とソニー、NEC、キヤノン、野村ホールディングス、新日本石油などの協賛により運営されました。

グローバル・ハウスオレンジホール： NHKによるスーパーハイビジョンシアターが設置され、高精細な映像と22.2chの立体音響で迫力ある映像体験を提供しました。
グローバル・ハウスブルーホール： ソニーによるレーザードリームシアターが人気を集めました。
グローバル・ハウスマンモスラボ： ユカギルマンモスの組織や骨格を展示し、大きな話題を呼びました。この展示は、後にフジテレビ本社でも公開されています。

愛・地球広場

愛・地球広場は、松下電器、NTTドコモ、朝日新聞社、メ～テレ、テレビ朝日などの協賛により運営されました。

バイオ・ラング： 自然をテーマにした展示が行われました。
こいの池： ロバート・ウィルソンの演出によるナイトイベント「こいの池イブニング」が開催され、黒柳徹子がナレーターを務めました。

グローバル・ループ

グローバル・ループは、会場を一周する全長約2.6kmの回廊です。起伏のある地形をバリアフリーで移動できるように設計され、グローバル・トラムや自転車タクシーが運行されました。路面には廃材や合成樹脂が使用されていました。

グローバル・コモン（外国館）

グローバル・コモンは、各地域ごとに設けられた外国館のエリアです。各館はモジュールと呼ばれる規格化された鉄骨造の構造体で構成され、外観や内装に工夫を凝らしていました。モジュール化により、建設工期の短縮やコスト削減が実現され、閉幕後の再活用も考慮されていました。

グローバル・コモン1（アジア）

韓国館： 展示と3Dアニメ映画が人気を集めました。
中国館： 中国の文化や技術を紹介しました。
ブータン館： ブータンの自然や文化、国民の生活を紹介し、釈迦坐像を安置した工芸建築が目を引きました。

グローバル・コモン2（南北アメリカ/国連）

国連館： 国連の活動を紹介しました。
国際赤十字・赤新月館： 紛争地での活動を紹介する映像が話題となり、Mr.Childrenの「タガタメ」がテーマソングとして使用されました。
アメリカ館： アメリカの文化や技術を紹介しました。

グローバル・コモン3（ヨーロッパ）

イタリア館： イタリアの文化や技術を紹介しました。
クロアチア館： 塩田を再現した展示が特徴的でした。
ドイツ館： ライドに乗ってドイツの産業を紹介する展示が人気を集めました。
フランス館： 地球環境をテーマにした映像を上映しました。
ボスニア・ヘルツェゴビナ館： ボスニア・ヘルツェゴビナの自然を紹介しました。
ヨルダン館： 死海の水を展示し、浮遊体験を提供しました。

グローバル・コモン4（ヨーロッパ）

北欧共同館： 北欧各国の自然や文化を紹介しました。
イギリス館： イギリスの文化や技術を紹介しました。
スイス館： スイスの自然や文化を紹介しました。
ベルギー館： ベルギーワッフルが人気を集めました。
ポーランド館： ヴィエリチカ岩塩坑の一部を再現した展示がありました。
リトアニア館： リトアニアの文明と自然に関する映像が上映されました。
ロシア館： 展示が充実していました。

グローバル・コモン5（アフリカ）

アフリカ共同館： アフリカ各国の文化や自然を紹介しました。
エジプト館： エジプトの文化や歴史を紹介しました。

グローバル・コモン6（オセアニア・東南アジア）

南太平洋共同館： 南太平洋各国の文化や自然を紹介しました。
インドネシア館： インドネシアの文化や自然を紹介しました。
オーストラリア館： オーストラリアの文化や自然を紹介しました。
カンボジア館： アンコール・ワットの模型を展示し、遺跡修復活動を紹介しました。
* ニュージーランド館： 翡翠の原石が展示されていました。

企業パビリオンゾーン

企業パビリオンゾーンには、三菱未来館@earth、ワンダーサーカス電力館、JR東海 超電導リニア館、ワンダーホイール 展・覧・車、トヨタグループ館、日立グループ館、三井・東芝館、ガスパビリオン　炎のマジックシアター、共同館・夢みる山など、様々な企業が出展しました。各パビリオンでは、企業の技術や製品を紹介する展示やアトラクションが行われました。

日本ゾーン

日本ゾーンには、長久手愛知県館、長久手日本館、大地の塔、中部千年共生村などがありました。長久手日本館の目玉であった360度天球型シアター「地球の部屋」は、閉幕後、国立科学博物館に移設されました。

遊びと参加ゾーン

遊びと参加ゾーンには、EXPOホール、モリゾー・キッコロメッセ、わんパク宝島、ロボットステーション、地球市民村、水木しげるのゲゲゲの森、ファミリー愛ランド、大観覧車など、様々なアトラクションやイベントが行われました。

日本庭園

日本庭園には、サツキとメイの家がありました。映画「となりのトトロ」に登場する草壁家の家を再現したもので、事前予約が必要な人気スポットでした。

瀬戸会場

瀬戸会場には、瀬戸ゲート、ウェルカムハウス、天水皿n、瀬戸日本館、瀬戸愛知県館、市民パビリオンなどがありました。瀬戸日本館では、「群読叙事詩劇・一粒の種」が評判を呼びました。

閉幕後

閉幕後、ほとんどの施設は撤去されましたが、愛・地球博記念公園や海上の森として再整備され、一部の施設は現在も活用されています。

愛知万博の施設は、当時の最先端技術や文化、地球規模の課題に対する意識を結集したものであり、未来へのメッセージを伝える貴重な遺産となっています。

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