慈敬寺

慈敬寺の歴史と由来

慈敬寺（じきょうじ）は、近江国滋賀郡の堅田、今の滋賀県大津市に位置していた浄土真宗の寺院で、またの名を堅田御坊とも呼ばれています。かつてこの寺院は高島郡に移転し、その後に分裂した歴史があります。慈敬寺の起源は文明3年（1471年）にまで遡り、本願寺の8世にあたる蓮如が北陸地方に向かう途中で堅田に小さな堂を建立したことから始まります。この過程で標記の寺院が生まれました。

その後、明応3年（1494年）に本願寺が再興され、蓮如の6男である蓮淳が他の寺院と兼任しながら2代住職とされたとも、またはその弟の実賢が直接貫く形で3代目となったとも言われています。文亀3年（1503年）または永正3年（1506年）には、本願寺の9世実如から称徳寺の名称が賜り、その後、実賢の子である実誓の時代に本願寺の10世証如によって慈敬寺へと改名されました。

慈敬寺は本願寺が門跡として地位を確立していく中で、その院家の一つとしても重要な役割を担っていました。実誓は大坂本願寺戦争で本願寺の11世顕如の指揮のもと、堅田門徒や高島門徒と共に織田信長に対抗しましたが、1573年に55歳でこの世を去ります。

その後、実誓の息子である証智も引き続き顕如に従い戦い続けましたが、堅田を離れ高島郡の船木村へと避難しました。その後、顕如が織田信長との講和を進める際、証智は思いと反して講和に反対し、その結果、顕如の長男教如と共に大坂本願寺に籠城し続ける意向を強くして顕如から反感を買いました。これが原因で、顕智が証智の後継者として選ばれることになり、慈敬寺は他の寺院と共に分裂していきます。

やがて本願寺は教如と弟の准如との間で分裂し、慈敬寺もその影響を受けることになります。文禄元年（1592年）頃、顕智は准如に従って新たな寺院として青冷寺を持ち込み、ここを慈敬寺として称しました。一方、証智は弟の智興を後継者として設定し、1598年にその生涯を終えました。このように、慈敬寺は本願寺に従いながらも東西に分かれ、その後、船木の慈敬寺は黒谷へ、永田の慈敬寺は鴨へと移転し、現在に至っています。

このように、慈敬寺は浄土真宗の歴史において重要な位置を占めており、数世代にわたって多くの戦乱に巻き込まれながらも、信仰を守り続けてきた寺院です。

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