慈眼寺 (小千谷市)

慈眼寺の魅力と歴史

新潟県小千谷市にある慈眼寺（じげんじ）は、船岡山（ふなおかさん）を山号とする真言宗智山派の寺院です。本尊は聖観世音菩薩で、この地の信仰の中心として重要な役割を担っています。

歴史的背景

慈眼寺の創建は、天武天皇の白鳳年間（7世紀末）に遡ると伝えられています。この寺院は、薩明大徳によって設立されたとされており、貞観2年（860年）には真雅による創立説も存在しています。寺の歴史には、慶応4年（1868年）に越後国長岡藩家老の河井継之助と新政府軍の監であった岩村精一郎がこの地で会談を行い、中立和平を訴えたことが記されていますが、その結果、戊辰戦争の激戦として名高い北越戦争へと突入しました。

寺院の境内

慈眼寺の境内には、山門や船岡観音堂、本堂、庫裡、小千谷幼稚園など様々な施設があります。また、境内には河井総督会見談判所や、岩村河井会見記念碑が存在し、慶応4年の歴史的な会見を伝えています。この記念碑は、昭和14年（1939年）に当時の先代住職の発願により建立されたもので、化石として残っている文献や碑文は、著名な作家徳富蘇峰の撰であり、島田博の筆によるものです。

船岡観音の伝説

現在、慈眼寺境内には船岡観音が存在しますが、その歴史を辿ると、かつては小千谷市西中に位置していたと言われています。この地には今でも観音堂という地名が残されています。伝説によると、空海（弘法大師）が旅の途中で村人によって庵を結び、しばらく住んでいたそうです。彼は村での祈祷や看病、堰の造営などを行い、夜には仏像を刻んでいたとされています。最終的に三尺六寸の聖観音像が完成し、村人に対して「この観音様を拝み、仏の教えを守ることで、皆が極楽往生するでしょう」と語り残したという逸話もあります。

文化財としての慈眼寺

慈眼寺は登録有形文化財に指定されており、特に山門は平成27年（2015年）に登録されました。また、小千谷市の文化財としても、岩村・河井会談の処や岩村高俊自伝草稿が指定されています。さらには、慈眼寺を舞台にした文学作品も存在し、司馬遼太郎の著作『峠』にその名が登場します。

アクセスと周辺情報

寺院は信濃川の左岸に位置し、山門は寺町通り（県道49号）に面しています。車でアクセスする場合、関越自動車道の小千谷ICから約1.5km、所要時間は約8分程度です。また、越後交通の「平成2丁目」バス停から徒歩すぐの距離にあり、また「本町西」バス停からも徒歩約3分で到着します。JR上越線小千谷駅からは西へ約2kmの位置にあり、駅からのバスも利用可能です。

周辺には、小千谷市民会館や小千谷市立図書館、小千谷市立小千谷小学校、さらには船岡山や船岡公園、五智院などの見所が点在しています。

まとめ

慈眼寺はその歴史的背景だけでなく、豊かな文化財や信仰との繋がりにより、多くの人々に愛されている寺院です。訪れることで、地域の歴史や伝説に触れる貴重な体験ができることでしょう。

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