慕容龍

慕容龍（ぼよう りゅう）は、生没年不詳ながら、五胡十六国時代の前燕にその名を残す人物です。彼は昌黎郡棘城県の出身であり、前燕の勢力を拡大した燕王、慕容皝（ぼよう こう）の息子として生まれました。

元璽3年（354年）4月、慕容龍は歴陽王（れきようおう）に封じられました。このことは、彼が前燕の王族の一員として、一定の地位と権威を与えられていたことを示唆しています。しかし、残念ながら、彼の生涯における具体的な事績や活動については、史書に詳細な記録が残されていません。歴陽王に封じられた後の彼の足跡は、歴史の霧の中に消え、その後の消息を知ることはできません。

慕容龍の父である慕容皝は、前燕の基礎を築き上げた重要な人物です。彼の指導の下、前燕は着実に勢力を拡大し、五胡十六国時代の激しい争いの中で、独自の地位を確立しました。慕容皝は、その卓越した政治手腕と軍事力によって、前燕を強国へと導いたのです。

慕容龍には、多くの兄弟がいました。その中でも特に有名なのは、次の三人です。

慕容儁（ぼよう しゅん）：慕容皝の次男で、字は宣英（せんえい）。父の後を継いで前燕の皇帝となり、その勢力をさらに拡大しました。
慕容恪（ぼよう かく）：慕容皝の四男で、字は元恭（げんきょう）。卓越した軍事的手腕を発揮し、前燕の数々の戦いで勝利を収めました。その知勇兼備の姿は、多くの人々に畏敬の念を抱かせました。
慕容垂（ぼよう すい）：慕容皝の五男で、字は道明（どうめい）。当初は前燕に仕えましたが、後に後燕を建国し、その皇帝となりました。

また、慕容龍には、慕容友、慕容宜、慕容桓、慕容遵、慕容徽、慕容納、慕容秀、慕容嶽、慕容徳（字は玄明）、慕容黙、慕容僂、慕容宙といった兄弟がいました。

さらに、姉妹として、代王拓跋什翼犍（たくばつ じゅうよくけん）にとついだ慕容氏、夫余王余玄（ふよおう よげん）にとついだ慕容氏、蘭審（らんしん）にとついだ新城公主がいました。

慕容龍に関する情報は限られていますが、彼の家系や兄弟たちの活躍を通して、当時の前燕の隆盛を垣間見ることができます。五胡十六国時代の動乱の中で、慕容一族はそれぞれの運命を背負い、歴史の舞台で重要な役割を果たしました。

参考文献：

『資治通鑑』巻99
* 『十六国春秋』巻27

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