慕容桓

慕容桓（ぼよう かん）

慕容桓は、五胡十六国時代の前燕に生きた人物です。燕王慕容皝の子として、昌黎郡棘城県に生まれました。彼の生涯は、軍事的な活動と、前燕の滅亡という激動の時代に翻弄された悲劇に彩られています。

生涯

元璽3年（354年）4月、慕容桓は宜都王に封じられました。その後、鎮北将軍に任じられ、軍事的な才能を発揮します。建熙8年（367年）2月には、撫軍将軍慕容厲とともに勅勒を攻めるなど、積極的に軍事作戦に参加しました。

しかし、前燕の勢力は徐々に衰退し、前秦の侵攻を受けるようになります。建熙11年（370年）11月、慕容桓は1万余りの兵を率いて沙亭に駐屯していました。太傅慕容評の援軍を待っていましたが、慕容評が敗れたという知らせを受け、内黄へ移動します。その後、5千の兵を率いて龍城へ向かいました。

龍城では、鎮東将軍慕容亮を殺害し、その配下の軍を併合して遼東へ逃れようとしました。しかし、遼東郡太守の韓稠はすでに前秦に降伏しており、慕容桓らの入城を拒否しました。慕容桓は平川で韓稠と戦いましたが、勝利することはできませんでした。さらに、前秦から派遣された游撃将軍郭慶の攻撃を受け、慕容桓は敗北し、単騎で逃走中に朱嶷に捕らえられ、殺害されました。

家族構成

慕容桓の家系は以下の通りです。

父: 慕容皝（燕王）
兄弟:
慕容儁（次男）
慕容恪（四男）
慕容垂（五男）
その他多数
姉妹:
代王拓跋什翼犍にとついだ慕容氏
夫余王余玄にとついだ慕容氏
新城公主（蘭審にとついだ）
子:
慕容鳳
慕容凱

参考文献

『晋書』巻111
『資治通鑑』巻99、巻101 - 巻102
『十六国春秋』巻27 - 巻29

慕容桓は、前燕の皇族として生まれ、軍人として活躍しましたが、時代の流れに抗うことはできず、悲劇的な結末を迎えました。彼の生涯は、五胡十六国時代の動乱と、その中で生きた人々の運命を象徴していると言えるでしょう。

もう一度検索