慶州瞻星台

慶州瞻星台の概要

慶州瞻星台（けいしゅうせんせいだい）は、南韓の慶尚北道の慶州市に位置する歴史的な建物で、韓国国宝の第31号に指定されています。この瞻星台は、国連教育科学文化機関（UNESCO）の世界遺産である慶州歴史地域の主要な構成資産でもあります。建造年や建設者、さらにはその目的は不明ですが、韓国では「新羅時代に建設された東洋最古の天文観測施設」として広く知られています。

瞻星台の歴史的背景

慶州瞻星台の起源については、文献において明確な記録が残されていません。韓国の正史『三国史記』には瞻星台に関する言及は見当たらず、しかし『三国遺事』や『輿地考』にてその存在が確認できます。特に『三国遺事』では、善徳女王の治世（632年 - 647年）に石を用いて瞻星台が築かれたとの記載があり、これが最初の参照となっています。ただし、この文献には瞻星台の具体的な用途についての言及がなく、詳細は謎のままです。おそらく当時の人々にとって、瞻星台は天文観測のために使用されたと考えられていますが、その証拠は限られています。李氏朝鮮時代に書かれた『東国輿地勝覧』などには、内部の構成についてや天文観測に関連する記述が見られますが、直接的な証拠とは言えないという批判も存在します。

瞻星台の構造

慶州瞻星台は円筒形であり、上部に行くにつれて徐々に狭くなる形状をしています。高さは約9.1メートル、地面に接する部分の直径は約4.98メートルで、上層部分の直径は2.85メートルです。主に花崗岩を用いて構築されており、27段の石が積み上げられています。地上部分には入口がなく、中段の13から15段の間に一つの四角い窓が存在し、ここから階段を使って内部に出入りすることができたとされています。内部は現在、約12段分まで土に埋まっており、19段と20段、25段と26段目には床が組まれています。天井はなく、開放的な形状を持っています。

近年の調査によると、瞻星台が建てられた基盤は沈下しており、中心軸の傾きが毎年約1ミリメートル増加していることが確認されました。このため、適切な補修が施されない場合、将来的に崩壊する可能性があるとの指摘がされています。特に2016年に発生した慶州地震は、瞻星台に深刻な影響を与え、土台の傾きが20ミリメートル増加しました。その影響で石材の隙間も広がり、復元作業が求められる状況になっていますが、適切な資料が不足しているため、問題視されているのです。

瞻星台の科学的評価

瞻星台の価値が広く認識されたのは1910年のことでした。朝鮮総督府の観測所長だった和田雄治が瞻星台を確認し、当時の文献からの研究を元に文化財としての保護の重要性を訴えました。彼は、かつて瞻星台の頂上には木製の観測装置が設置されており、天体観測が行われていたと推測しました。これにより、瞻星台は「東洋最古の天文台」としての地位を獲得しました。

しかし、その後の韓国の科学史学界では、瞻星台の建設目的について複数の解釈が登場し、議論が展開されました。1960年代以降に行われた瞻星台の調査では、構造が天文観測には適していないことが指摘されました。日影の長さを記録する道具としての役割が主であるとの見解もあり、宗教的な象徴性も含めた理解が進んでいきました。1990年代には議論が収束し、天文観測の可能性があるとの見解が広まりますが、依然として具体的には一致した見解は得られていません。

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