憲法制定国民議会

憲法制定国民議会の成立と活動

憲法制定国民議会（けんぽうせいていこくみんぎかい）はフランス革命前に設立され、1789年7月9日に当時の全国三部会から独立した形で誕生しました。この国民議会は、第三身分（平民）を中心に構成され、フランスの初めての近代的な議会として位置づけられています。別名、憲法制定議会とも呼ばれています。

成立過程

全国三部会の議事は、議決方法を巡り深刻な対立に発展しました。第三身分は、自らを「コミューン」と称し、1789年6月17日に国民議会の設立を宣言しました。しかし、彼らは特権を持つ第一・二身分（聖職者と貴族）からの支持をほとんど得られず、国王政府から弾圧を受けました。それでも国民議会のメンバーは屈服せず、6月20日に有名な「球戯場の誓い」を行い、革命の意志を固めました。この対立の進行を受けて、国王は国民議会を承認せざるを得なくなり、その後、多くの聖職者や一部の貴族が合流しました。7月9日には「憲法制定国民議会」と改称され、新たに憲法制定の準備を始めました。

フランス革命勃発と影響

1789年7月14日、パリのバスティーユ牢獄への襲撃が起き、フランス革命が勃発しました。この革命は短期間で田舎の各地にも広がり、特権階級への暴動が多発しました。この流れの中で、多くの貴族や聖職者が亡命し、封建制度で成り立っていた従来の社会構造は崩壊しました。

国民議会はこの事態の鎮静化を目指しました。8月11日には封建制の廃止を定める法令が発表され、さらに8月26日には「人間と市民の権利の宣言」が採択されました。この宣言により、身分制社会は根底から否定され、基本的人権の理念が広く確認されました。したがって、国民議会は国王政府に代わって国家の主権を握る立場を確立していきました。9月11日の会議では、議場内の考え方が分かれ、右側は「国王の法律拒否権」を支持する保守派、左側はそれを否定する革新派として対立しました。この対立は、現在の政治における「左翼・右翼」の定義に繋がるものでもあります。

経済と宗教政策

1789年11月、国民議会はカトリック教会の財産を国有化し、その資金でアッシニア債券（事実上の紙幣）を発行しましたが、その信用は低く、経済の混乱を招く要因となりました。経済の自由化に関する政策も1790年から進められ、1791年にはギルドを廃止するなどの進展を見せました。しかし、聖職者への忠誠を求める聖職者市民法はローマ教皇との対立を引き起こしました。

ヴァレンヌ逃亡事件と憲法制定

フランス国王一家の逃亡を図るヴァレンヌ逃亡事件が発生した際、議会は緊急対応に追われました。この事件が国王の誘拐として修正される中、大規模な反ブルボン家運動がパリで起こり、国民議会は武力でこの問題を鎮圧しました。革命が急進化する中、9月3日にフランス初の憲法（1791年憲法）が可決され、ルイ16世はこれを承認しました。この憲法の成立は、多くのフイヤン派にとって革命の終わりを意味しましたが、実際にはその後、さらに過激な動きが続くことになります。

国民議会は歴史的な役割を果たし、フランスの未来に多大な影響を与えました。その存在がフランス革命の進展を後押しし、近代的な民主主義への道を切り開いたのです。

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