懐慶路

懐慶路について

懐慶路（かいけいろ）は、中国にかつて存在した行政区であり、その歴史はモンゴル帝国と大元ウルスの時代にまで遡ります。この地域は現在の河南省西北部に位置し、重要な統治拠点として長い間機能していました。

歴史的背景

懐慶路の起源は、唐代の懐州にさかのぼります。モンゴル帝国第4代皇帝モンケの治世の1256年には、懐州と孟州がクビライの投下領として定められました。この決定は、モンケの弟であるクビライによるもので、翌1257年にはこの2州を統括する懐孟路総管府が設置されました。このように、懐孟路はクビライ王家の重要な領地の一つとなりました。

モンケの死後、クビライは自らの権力を確立し、1264年には懐孟路と彰徳路が一時統合されました。しかし、1265年には再び懐孟路が独立した行政区域として戻されました。

政治的変遷と権力闘争

クビライの死後は、オルジェイトゥ・カアン（成宗テムル）が即位しましたが、彼の治世の後半は皇后ブルガンが実権を握るようになります。ブルガンはオルジェイトゥ・カアンの兄弟たちが次の皇帝の座を狙う脅威と見なし、彼らを懐州へ移しました。このことが後の権力闘争の引き金となります。

オルジェイトゥ・カアンの死後、ブルガンは安西王アナンダを擁立しようと試みましたが、ダギとアユルバルワダによるクーデターが発生し、ブルガンは失脚しました。最終的にアユルバルワダの兄であるカイシャンが新たなカアンとなりました。

その後、カイシャンとアユルバルワダを経て、シデバラがゲゲーン・カアンとして即位します。1320年、シデバラは懐州の歴史を記念して懐孟路を「懐慶路」と改名しました。

明朝成立後の懐慶路

明朝が朱元璋によって建国されると、懐慶路は改めて懐慶府と称され、地域の支配が一新されることとなりました。

懐慶路の管轄

懐慶路には、録事司、6つの県（そのうち3つは路直属）、1州が設置されていました。主な県には、河内県、修武県、武陟県があり、さらに孟州が河陽県、済源県、温県を管轄していました。

このように、懐慶路は歴史の中で重要な役割を果たし、数々の政治的変遷と権力闘争を経験しました。モンゴル帝国の影響を色濃く受けた地域であったことが、今もなおその名に刻まれています。

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