アユルバルワダ

アユルバルワダ：文化を重視した元朝の皇帝

アユルバルワダ（1285年4月9日 - 1320年3月1日）は、モンゴル帝国の第8代カアンであり、元朝の第4代皇帝として知られています。彼の生涯と治世は、元朝の政治と文化に大きな影響を与えました。

生涯

アユルバルワダは、成宗テムルの兄ダルマバラと、有力部族コンギラト出身の妃ダギの間に生まれました。テムルの崩御後、ブルガンの策略により即位が危ぶまれましたが、コンギラト派の重臣たちの支持を得てクーデターを成功させ、摂政として政治に関与。後に兄カイシャンの死後、カアンに即位しました。

政治と文化

即位後、アユルバルワダは母ダギとコンギラト派の重臣を重用し、政治の実権を握らせました。カイシャン時代の政策を改め、尚書省を廃止し、中書省を唯一の中央行政官庁としました。また、テムデルを右丞相に任命し、貨幣制度の変更や徴税改革を試みましたが、抜本的な解決には至りませんでした。

しかし、アユルバルワダの治世で特筆すべきは、文化的な政策です。『貞観政要』のモンゴル語訳を配布し、漢文による法典編纂を開始。儒学の素養を持つ知識人を集め、科挙を復活させるなど、漢文化の復興に力を注ぎました。

晩年と死後

アユルバルワダの晩年は、皇太后ダギとテムデルの権勢が強く、カアンの権力は及ばないほどでした。御史台の弾劾によりテムデルを失脚させましたが、36歳で崩御。死後、皇太后ダギによってテムデルが復職し、専権が続くこととなりました。

評価

アユルバルワダの治世は、漢文化と知識人が優遇されたことから、漢人編纂の歴史書では高く評価されています。元朝が征服王朝として成熟を示した時代として位置づけられ、文化的な貢献が大きく評価されています。

系譜

后妃

荘懿慈聖皇后 ラトナシリ（阿納失失里）- コンギラト部出身
皇后 ダルマシリ（答里麻失里）- 金氏、高麗人
皇后 バヤン・クトゥク（伯顔忽篤）- 王氏、高麗人

子女

英宗 シデバラ - 母はラトナシリ
* 安王 ウドゥス・ブカ - 母は不明

アユルバルワダは、元朝の文化的な発展に大きく貢献した皇帝として、歴史に名を残しています。

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