カイシャン

カイシャン

カイシャン（1281年8月4日 - 1311年1月27日）は、モンゴル帝国の第7代カアン（元朝としては第3代皇帝）として知られています。彼は、成宗テムルの兄ダルマバラの長男として生まれ、母は有力なコンギラト部族出身のダギでした。

生涯

テムルの有力な後継者候補であったカイシャンは、1299年にモンゴル高原に派遣され、キプチャク親衛軍を指揮しました。1301年には、中央アジアからのカイドゥ軍との戦いで勝利を収め、1306年にはアルタイ山脈方面への侵攻で大きな戦果を挙げました。

1307年にテムルが亡くなると、皇后ブルガンはカイシャンを遠ざけ、アナンダを擁立しようとしましたが、コンギラト派の重臣がクーデターを起こし、カイシャンがカアンに即位しました。

即位後、カイシャンは弟のアユルバルワダを皇太子に立て、王族や貴族に恩賞を与えて支持を得ました。また、財政再建のため尚書省を復活させ、専売制の強化や新紙幣の発行を行いましたが、効果は限定的でした。さらに、新たな都として中都の建設も始めましたが、彼の治世が短かったため完成には至りませんでした。

カイシャンはキプチャク親衛軍などの非モンゴル系親衛軍を重用しましたが、アユルバルワダのクーデターを助けたコンギラト派の重臣たちへの報いが少なかったため、不満が鬱積しました。

1311年、カイシャンは30歳で急死し、アユルバルワダが即位すると、コンギラト派が勢力を拡大し、カイシャン派の重臣たちは追放されました。また、生前の皇位継承の約束が違えられたため、カイシャンを支持する将軍たちは不満を持ち続けました。

系譜

后妃

宣慈恵聖皇后 ジンゲ（真哥）- コンギラト部出身
皇后 スゲシリ（速哥失里）- コンギラト部出身
オルジェイテイ（完者歹）
側室 仁献皇后 イキレス（亦乞列思）氏 - イキレス部出身
側室 文献皇后 タングート（唐兀）氏 - タングート部出身

子女

明宗 コシラ - 母はイキレス氏
* 文宗 トク・テムル - 母はタングート氏

カイシャンの短い治世は、元朝の皇位継承問題に大きな影響を与え、その後の政情不安の一因となりました。

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