成就院 (横浜市)

成就院について

成就院（じょうじゅいん）は、神奈川県横浜市港南区笹下に位置する真宗高田派の寺院です。この寺には梅花山（ばいかざん）という山号がつけられていますが、成就院の歴史については多くの興味深いエピソードがあります。

創建の背景

成就院の創建時期は明確にはわかっていませんが、以前は法相宗の寺院で「曲田山上行寺」という名前が付けられていました。1214年（建保2年）、住僧の祐玄法印が親鸞から教学を受ける中で浄土真宗に改宗し、寺の宗派が変わる重要な時期を迎えました。これにより、成就院は浄土真宗の一部としての信仰が根付いていきました。

15世紀に入ると、浄土真宗本願寺派の8世である蓮如から「成就坊」という名が与えられ、江戸時代の早い段階には本願寺派の13世良如から「梅花山」の呼称が贈られ、以降は「梅花山成就坊」として知られるようになりました。このように、成就院は長い歴史の中で名称の変遷があり、地域に密接に関わってきたことが特徴です。

災害と復興

1849年（嘉永2年）、成就院は火災に見舞われ、本堂を含む多くの寺宝が失われてしまいました。この出来事は寺院にとって大きな打撃でしたが、1890年（明治23年）には第23代の花園硯城によって再建され、その後も絶えず地域の信仰の場として存続してきました。1954年（昭和29年）からは「成就院」という現在の名称が正式に使用されるようになりました。

2014年には、改宗から800年を迎え、再々建された本堂が新たに完成しました。これにより、成就院はより一層、地域住民や信者にとって大切な場所になりました。

歴史的意義

また、成就院が所在する高台は、かつて小田原後北条氏の武将である間宮康俊の城、笹下城があった場所とされています。成就院の山門はこの時代に建てられた間宮氏の陣屋門を移築したと伝えられていおり、その歴史的価値は深いものがあります。

特に境内には、樹齢約700年の槙（マキ）が存在します。この木は1849年の火災で片側が焼けてしまったことから「片身の槙」と呼ばれ、地域のシンボルとなっています。このように成就院は、ただの寺院に留まらず、地域の歴史や文化を物語る重要な存在であると言えるでしょう。

まとめ

成就院は、真宗高田派の寺院として地域の信仰を支えながら、長い歴史の中で多くの変遷を経てきた場所です。その重要な位置づけや文化的背景を知ることで、より深く地域の歴史を理解する手助けとなるでしょう。地域住民にとっても、信仰の象徴としてだけでなく歴史的な意義を持つ場所であり続けています。

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