成王 (周)

周王朝の第二代王、成王

成王（せいおう）は、古代中国の周王朝における第二代目の王です。初代の武王の息子であり、周王朝の初期を支えた重要な人物として知られています。彼の名前は諡号ではなく、生前から使われていた称号です。

即位と初期の困難

武王が易姓革命を起こし殷を滅ぼしてからわずか2年で急逝したため、成王は幼くして王位を継承することになりました。しかし、周王朝の支配はまだ安定しておらず、殷の遺臣である武庚や、成王の叔父である管叔鮮と蔡叔度らが反乱（三監の乱）を起こすなど、国内は非常に不安定な状況にありました。

賢臣たちの補佐

成王が幼かったため、政治の実権は母の邑姜、叔父の周公旦、太公望呂尚、召公奭らが握っていました。彼らは成王を補佐し、国政を安定させるために尽力しました。特に、周公旦は摂政として国内の政治を主導し、周王朝の基盤を固める上で重要な役割を果たしました。

領土の拡大と統治

成王は弟の叔虞を唐（後の晋）に、別の弟を韓に封じました。また、『史記』楚世家によると、五帝の一人である顓頊の子孫を楚に封じたとされています。これらの措置は、周王朝の支配領域を拡大し、安定させる上で重要な意味を持っていました。

成王は成長すると自ら政務を執るようになりましたが、若くして亡くなったとされています。しかし、彼の治世は周王朝の発展に大きく貢献し、後の康王の時代まで、周王朝の確立期である「成康の治」を築き上げることになりました。

封禅の儀式

『史記』封禅書によると、成王は王の即位を天地に知らせ、天下の平和を感謝する封禅の儀式を行なったと記されています。斉の桓公に仕えた管仲の記憶によれば、成王は封禅を行なった最後の王であったとされています。この儀式は、成王が天地の神々から王として認められ、天下を治める正統性を持っていたことを示すものでした。

倭人との関係

後漢の王充が著した『論衡』によると、成王の時代には越裳（現在の中国南部にいたとされる民族）が白いキジを献上し、倭人が暢草という薬草を献上したとされています。この記述は、当時すでに倭人と周王朝の間で交流があったことを示唆しており、古代日本の歴史を考える上で重要な資料となっています。

成王の遺産

成王の治世は、周王朝の初期における最も重要な時期の一つでした。彼の治世は、周王朝の政治体制を確立し、文化を繁栄させる基礎を築いたと言えるでしょう。幼くして即位しながらも、賢臣たちに支えられ、周王朝の基礎を築いた成王は、後世に長く語り継がれることになりました。

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