成田空港 空と大地の歴史館

成田空港 空と大地の歴史館

千葉県山武郡芝山町に位置する「成田空港 空と大地の歴史館」は、成田空港問題、別名三里塚闘争に関する資料を展示する施設です。この歴史館は、空港建設の歴史とその背景にある社会的な対立を後世に伝えるために、2011年6月23日に開館しました。

概要

歴史館は、成田空港地域共生委員会（現在の成田空港地域共生・共栄会議）の歴史伝承部会が企画した事業を、成田国際空港株式会社が引き継いで設立されました。展示内容は、空港建設を推進した側と反対した側の両方の視点を考慮し、バランスの取れた内容となっています。展示では、空港建設前の農業の様子、戦後の開拓の歴史、1960年代から1970年代の社会情勢、そして成田空港反対闘争の詳細が紹介されています。また、管制塔占拠事件、政府と反対派との間で開かれたシンポジウムや円卓会議の資料、そして現在の成田国際空港の状況と将来に関する情報も展示されています。

展示物としては、反対闘争で使用されたヘルメットや火炎瓶、立木トラストの明認札、連絡用ドラム缶のレプリカなどが展示されています。また、A滑走路の実物大断面カットモデルや、当時の雑誌の表紙なども展示されており、三里塚闘争が発生した時代の雰囲気を伝えています。さらに、歴史館内では常設展示に加えて、企画展も開催されています。

「朝日のラウンジ」には「空港情報コーナー」が設置されており、成田国際空港の共生施策、運用情報、航空機騒音測定結果、航跡図などの情報が公開されています。歴史館の運営は、新東京国際空港公団（現：成田国際空港株式会社）の元職員が担当しており、来館者に対して展示資料の説明などを行っています。

歴史館の運営には、大学教授だけでなく、かつて反対運動に参加していた人物も関わっています。また、反対同盟熱田派の元代表夫妻など、三里塚芝山連合空港反対同盟のメンバーだった人物も、歴史館の協力者として名を連ねています。

沿革

歴史館の設立までの経緯は以下の通りです。

1996年4月：成田空港地域共生委員会内に「共生会館（仮称）建設準備委員会」が設置される。
1997年8月5日：成田空港地域共生委員会が歴史伝承部会を設置。
2004年4月：財団法人航空科学振興財団の歴史伝承委員会に事業が引き継がれる。
2009年：成田国際空港株式会社が歴史伝承委員会を設置し、歴史伝承館（仮称）の開設に向けて動き出す。
2011年6月23日：成田空港 空と大地の歴史館が開館。
2016年7月1日：朝日のラウンジ内に「空港情報コーナー」が開設。

施設

歴史館は、航空科学博物館の敷地内東側に位置し、八角形の建物が特徴です。歴史館の隣には、成田空港地域共生・共栄会議の事務所があります。

利用状況等

歴史館の年間訪問者数は約1万人で、成田国際空港株式会社の新入社員や国家公務員の新入職員の研修にも利用されています。しかし、成田空港問題は現在も解決しておらず、地域には空港関係者と反対派が共存しているため、地元の小中学校では社会科見学の対象とはなっていません。

反対意見

円卓会議に参加しなかった反対同盟（北原派）や中核派は、歴史館の建設に反対していました。

利用案内

所在地：千葉県山武郡芝山町岩山113-2
開館時間：10:00 - 17:00
休館日：月曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始（12月29日～1月3日）
入館料：無料

交通アクセス

公式ウェブサイト)

ギャラリー

現在、館内での写真撮影は禁止されています。（掲載されている写真は許可を得て撮影されたものです。）

参考

NAA歴史伝承委員会 活動年表)（2017年3月28日閲覧）

関連項目

成田空港問題（三里塚闘争）
成田空港管制塔占拠事件
前田道彦
* ダークツーリズム

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