成田龍一

成田龍一

成田龍一（なりた りゅういち）氏は、1951年生まれの日本の歴史学者であり、日本女子大学の名誉教授です。専門は日本近現代史、特に都市社会史です。文学博士の学位を持ち、日本の歴史学界において重要な貢献をしています。

略歴

成田氏は大阪市で生まれ、1970年に麻布高等学校を卒業後、1974年に早稲田大学第一文学部を卒業しました。その後、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程を1983年に修了。1985年には学位論文「加藤時次郎-加藤時次郎選集」で文学博士号を取得しました。

横浜市立大学、東京外国語大学で講師、助教授を歴任し、その後、日本女子大学人間社会学部助教授、教授として教鞭を執りました。2022年に定年退職し、名誉教授となりました。初期社会主義研究会の会員でもあります。

人物

成田氏は学術的な研究活動に加えて、社会的な問題にも積極的に関与しています。日本による対韓輸出優遇撤廃に反対する声明「韓国は「敵」なのか」の呼びかけ人の一人であることからも、その姿勢がうかがえます。

著書

成田龍一氏は、数多くの単著、共著、編著を発表しています。以下に代表的な著書をいくつか紹介します。

単著

『加藤時次郎』不二出版 1983
『「故郷」という物語 都市空間の歴史学』吉川弘文館 1998
『〈歴史〉はいかに語られるか 1930年代「国民の物語」批判』日本放送出版協会［NHKブックス］ 2001 / ちくま学芸文庫 2010
『歴史学のスタイル 史学史とその周辺』校倉書房 2001
『近代都市空間の文化経験』岩波書店 2003
『司馬遼太郎の幕末・明治『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を読む』朝日選書 2003
『「大菩薩峠」論』青土社 2006
『歴史学のポジショナリティ 歴史叙述とその周辺』校倉書房 2006
『シリーズ日本近現代史 (4) 大正デモクラシー』岩波新書 2007
『大正デモクラシー』岩波書店 2007
『戦後思想家としての司馬遼太郎』筑摩書房 2009
『「戦争経験」の戦後史-語られた体験／証言／記憶』岩波書店 2010
『近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去』中公新書 2012
『歴史学のナラティヴ 民衆史研究とその周辺』校倉書房 2012
『戦後日本史の考え方・学び方 歴史って何だろう？』（14歳の世渡り術）河出書房新社 2013
『戦後史入門』河出文庫 2015
『加藤周一を記憶する』講談社現代新書 2015
『「戦後」はいかに語られるか』河出ブックス 2016
『アジアの戦争と記憶 二〇世紀の歴史と文学』勉誠出版 2018
『近現代日本史との対話 幕末・維新−戦前編』集英社新書 2019
『近現代日本史との対話 戦中・戦後−現在編』集英社新書 2019
『環太平洋地域の移動と人種 統治から管理へ、遭遇から連帯へ』京都大学学術出版会 2020
『「戦争経験」の戦後史 語られた体験／証言／記憶 増補』岩波現代文庫 2020
『歴史論集1 方法としての史学史』岩波現代文庫 2021
『歴史論集2〈戦後知〉を歴史化する』岩波現代文庫 2021
『歴史論集3 危機の時代の歴史学のために』岩波現代文庫 2021

共著

『故郷の喪失と再生』青弓社 2000
『ノーマ・フィールドは語る 戦後・文学・希望』岩波ブックレット 2010
『立ちすくむ歴史 E・H・カー『歴史とは何か』から50年』せりか書房 2012
『岩波新書で「戦後」をよむ』岩波新書 2015

編著

『加藤時次郎選集』弘隆社 1981
『近代日本の軌跡 (9) 都市と民衆』吉川弘文館 1993
『言葉と戦車を見すえて 加藤周一が考えつづけてきたこと』筑摩書房 2009
『総力戦体制』筑摩書房 2015
『〈世界史〉をいかに語るか グローバル時代の歴史像』岩波書店 2020
『「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし』集英社新書 2020
* 『〈戦後文学〉の現在形』平凡社 2020

これらの著作からもわかるように、成田氏の研究領域は多岐にわたり、日本の近現代史、都市社会史、思想史など、幅広い分野で重要な業績を上げています。特に、歴史の語り方や戦後日本の思想に関する研究は、多くの研究者に影響を与えています。

成田龍一氏は、学問的な探求を通じて、歴史に対する深い洞察と多角的な視点を提供し続けている、現代日本を代表する歴史学者の一人です。

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