我闘姑娘

我闘姑娘（がとうくうにゃん）

我闘姑娘は、2002年3月に設立され、2007年1月27日に解散した日本の女子プロレス団体です。かつてFMWで活躍したさくらえみが、その解散を機にフリーとなり立ち上げた組織で、代表にはさくらえみとI.W.A.JAPAN時代からの旧知であった池須豊氏が就任しました。

設立当初、団体としての活動はすぐには始まりませんでした。さくらえみ選手自身が負傷により長期欠場中だったこともあり、団体はまず埼玉県坂戸市で女子プロレス教室「さくらえび」を運営する形で活動を展開します。さくらえみ選手は怪我からの復帰後、フリーランスとして全日本女子プロレスやNEO女子プロレスといった既存団体に参戦。その傍らで、「さくらえび」で練習を積んだ新人選手たちが2003年頃から次々とデビューを果たしていきました。

そして、設立から約2年半が経過した2004年10月31日、新木場1stRINGにて待望の旗揚げ戦が開催されます。我闘姑娘は、先に解散した全日本女子プロレスやジャパン女子プロレスといった伝統的な路線の系譜を継がない、異色の女子プロレス団体として注目を集めました。所属選手についても、設立者であるさくらえみ選手を除き、他の既存団体から移籍してきた者は皆無。旗揚げ時に所属していた選手は全て、我闘姑娘が自前で育成した文字通りの生え抜き選手たちでした。さらに、試合を裁くレフェリーや場内を盛り上げるリングアナウンサーといったスタッフも、すべて団体内で育成した人材で賄われていた点も、その独立性を象徴しています。

我闘姑娘のリングで繰り広げられた試合は、従来の女子プロレスのイメージとは一線を画すものでした。特に特徴的だったのは、小学生や中学生といった非常に若い世代の選手が複数所属し、積極的に試合を行っていたことです。また、プロレスの一般的なコスチュームではなく、日常的な服装に近い格好でリングに上がる選手もおり、特に小中学生選手はそうしたスタイルに統一されていました。

試合内容においても、その独自性は顕著でした。萌え系の美形レスラーや、前述のような小中学生レスラーたちがリング上で躍動するスタイルは、「癒し系プロレス」とも評されるエンターテイメント色の強いプロレスを目指すものでした。一方で、こうした若い選手たちが中心となることから、試合におけるセクハラ的な攻撃（主に浣腸、股間攻撃、恥ずかし固めなど）は行わないという明確なルールが設けられていました。これは、女子プロレス界における画期的な配慮と言えるでしょう。

しかし、団体の歴史は平穏なものだけではありませんでした。2006年4月22日に発生した、市井舞選手のサイン会におけるドタキャン騒動を機に、上層部と所属選手の間の関係が悪化したと噂されます。これが亀裂となり、中心選手であったさくらえみ選手がアイスリボンとして独立・移籍。それに伴うように、多くの所属選手が団体を離脱したり、プロレス活動から引退したりする事態が相次ぎました。

こうした状況の中、我闘姑娘は2007年1月27日に新木場1stRINGで開催された興行「萌える！お嬢様伝説バトルプリンセスLive Vol.1」をもって解散することとなりました。最終的に唯一の所属選手として残っていた春日萌花選手は一度プロレス活動を休業しますが、2008年にプロレスリングWAVEへ移籍して現役復帰を果たしています。また、代表を務めた池須豊氏は解散後、大日本プロレスにレフェリーとして入社しました。

団体が開催していたタイトル戦は、厳密な強さを競うものというよりは、企画色の強いユニークな王座が存在しました。例えば、ロープワークの技術を競う「ロープワーク王座」や、ドロップキックの精度を競う「ドロップキック王座」などがあります。

解散時の最終所属選手は春日萌花選手のみでしたが、短期間ながらも個性的な選手を多く輩出しました。歴代所属選手には、設立者のさくらえみをはじめ、希月あおい、石井美紀、市井舞、零（現：Ray）、夏樹☆ヘッド（現：南月たいよう）らが名を連ねています。また、前述の小学生レスラーとして、きのこ、あいか、ひなた、みなみ飛香、聖菜、そして中学生レスラーの高橋李佳などが活躍し、練習生として真琴も在籍していました。スタッフとしては、レフェリーの熊木つばさ、熊木みさき、リングアナウンサーのコーガ亜紀、北村有希らが団体を支えました。

我闘姑娘は、その短い活動期間ながらも、従来の女子プロレスの枠にとらわれない、エンターテイメント性と独自性を追求した団体として、日本のプロレス史にその名を刻んでいます。

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