戸隠バードライン

戸隠バードラインとは

戸隠バードラインは、長野県長野市街地と飯綱高原、戸隠高原を結ぶために建設された有料道路でした。この道路の開通により、長野市街地から戸隠までの所要時間は、従来の2時間から約40分へと大幅に短縮され、観光客や地域住民の移動の利便性が向上しました。

路線データ

始点: 長野県長野市上松（被災前）
終点: 長野県長野市戸隠（開通当時は上水内郡戸隠村）
全長: 17.0km
幅員: 5.5m
適用法律: 道路運送法
事業費: 11億4660万円

地すべり災害と廃道

1985年7月、地附山（じづきやま）で発生した大規模な地すべり災害により、戸隠バードラインの始点付近、長野市上松から地附山を登る区間が土砂に飲み込まれ、通行不能となりました。この災害により、道路の一部が流失し、復旧には多額の費用が見込まれたため、長野県は被災区間の復旧を断念しました。また、被災区間へ繋がっていた大峰山から地附山までの区間も、迂回路がないことから廃道となりました。

迂回路と浅川ループライン

不通区間を迂回するため、一時的に長野市道大座法師池西高線が利用されました。しかし、この道は「七曲り」と呼ばれるヘアピンカーブが連続する区間があり、大型車の通行が困難でした。そこで長野県は、長野オリンピックの開催を契機に、より北側に位置する長野県道506号戸隠高原浅川線を改修し、浅川ループラインを開通させました。この道路が、現在の飯綱高原への主要アクセス道路となっています。

地すべり災害の責任と謝罪

地附山地すべり災害に関して、被災者の遺族が起こした裁判で、1997年6月、長野地方裁判所は「戸隠有料道路の管理に瑕疵があったことが地すべりの原因となった」との判決を下しました。そして災害から20年後の2005年7月、当時の長野県知事であった田中康夫氏は、県と市に責任があったことを認め、謝罪しました。

歴史

1963年1月：長野県企業局により建設開始。
1964年7月：豪雨により長野市側工区で一部盛土が欠損。
1964年8月12日：一部区間が供用開始（未舗装）。
1964年9月16日：全線供用開始（未舗装）。
1965年5月：全線舗装工事開始。
1965年9月17日：全線舗装完了。
1985年7月12日：豪雨により、上松料金所付近で道路に亀裂が確認され、料金所より先2.2kmが通行止めに。
1985年7月25日：地附山地すべり災害が発生。道路流出により、上松・大峰山間が不通となる。
1997年4月1日：全線無料開放。

有料時代の通行料金

以下は1990年5月当時の料金です。

大峰山 - 飯綱
普通車：200円
二輪車：100円
大型車：600円
特大車：800円
飯綱 - 戸隠
普通車：100円
二輪車：100円
大型車：210円
特大車：410円

その他、付近住民向けの定期券も存在しました。

料金所

料金所は、湯谷団地、大座法師池、大久保、そして後に飯綱高原の大谷地湿原に設けられていました。無料開放後、これらの料金所は順次撤去されましたが、大谷地湿原にあった料金所は比較的新しかったため、戸隠の「そば博物館とんくるりん」に移設され、保存されています。

現在の構成路線

戸隠バードラインの役割は、現在以下の道路が引き継いでいます。

長野市道大座法師池西高線（七曲り・長野市富田間）
長野市道芋井105号線（長野市富田・長野市上ケ屋飯綱原間）
長野県道506号戸隠高原浅川線（長野市上ケ屋飯綱原・長野市戸隠間）

関連情報

無料開放された道路一覧
廃止された自動車道
地附山
善光寺ロープウェイ

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