手抜き (ゲーム)

手抜きとは

手抜きとは、囲碁や将棋において、直前の相手の着手に対して、すぐに応じず、別の場所へ着手することです。一般的には、相手の攻めや守りの手を無視することになるため、リスクを伴う行為と捉えられます。

しかし、状況によっては、手抜きが有効な戦略となることもあります。本記事では、囲碁と将棋における手抜きの意味と、具体的な例を挙げて解説します。

囲碁における手抜き

囲碁では、通常、相手の動きに適切に対応することが重要とされています。特に、戦いの最中や、大きな弱点を放置するような場面での手抜きは、大きな損害につながる可能性があり、避けるべきです。しかし、相手の着手に応じなくても、自陣に大きな影響がないと判断される場合は、あえて手を抜いて、より重要な場所（大場）に先着するのも有効な戦略となります。

また、自分の陣形を完全に固定せずに、後々、戦いの余地や含みを残すために、あえて手を抜く場合もあります。

手抜きの例

星への三々入り定石:

星に三々入りした際の定石では、通常、黒1の点にカケツギで応じるのが一般的です。しかし、ここで手を抜いて他の場所に打つと、aのキリやbのハサミツケなどの弱点が残り、不利になる可能性が高いです。この状況での手抜きは、非常に特殊な場合に限られます。


ツケヒキ定石:

ツケヒキ定石の途中では、通常、白はaやbにツギで応じます。しかし、あえて手を抜いて他の場所に打つことも、戦略の一つです。例えば、他の状況を見ながら、aやbにツグか、cやdなどに打つか、選択肢を残す手段となります。黒から先にaへ切られる可能性もありますが、周囲の状況によっては、白2子がまだ生きている可能性もあります。


根拠を確保する際の手抜き:

白1の手で、aにサガって自分の陣地を確保するのが堅実な打ち方です。しかし、白1と黒2を交換して、あえて手を抜く打ち方もあります。何もせずに手を抜くと、黒aのハネで眼型が失われますが、白1と黒2を交換しておけば、黒aに対して、白b黒c白dと進めて白2子を助けることができます。黒に眼型を与える代わりに、他の好点を狙う戦略です。


三手抜き:

星に対して両ガカリされた際に、さらに手を抜いてできる形があります。下図の白1のようにカケられた場合、封鎖された形になります。従来は、黒はaにコスんで生きるべきとされていましたが、呉清源はbにコスミツケて生きる方が良いと指摘しました。かつては、このように封鎖されると結果は悪く、両ガカリされた時点で黒は1またはcなどに打って、先に頭を出すべきだと考えられていました。

しかし、近年では、人工知能の登場により、三手抜きをして封鎖を受けても良いとする考え方が出てきました。3手かけても黒7まで隅で簡単に生きられ、白の外勢にも弱点が残るため、黒はそれで十分という判断です。

将棋における手抜き

将棋における手抜きは、次に駒を取られる、自陣に駒を侵入されるなど、対応が必要な状況に対して、守る手を指さずに、攻めるなどの別の手を指すことを指します。

対応を怠ると不利になる場合もあるため、正確な読みが不可欠です。状況によっては、手抜きが有効な攻撃手段となることもありますが、リスクを伴うため、慎重な判断が必要です。

まとめ

手抜きは、囲碁や将棋において、状況に応じて有効な戦略となりえます。しかし、安易な手抜きは、相手に有利な状況を与えてしまう可能性もあるため、注意が必要です。手抜きを効果的に使うためには、状況を正確に判断し、リスクとリターンを慎重に考慮する必要があります。

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