抗日戦争第1戦区

抗日戦争第1戦区の概要

抗日戦争第1戦区は、1937年の盧溝橋事件を契機に設立された中華民国国民政府の重要な軍事区域の一つです。この戦区は、日本軍に対抗するための戦略的な拠点として機能し、当初の所轄範囲は河北省北部および山東省北部でしたが、戦況に応じて何度も再編成が行われました。

1. 1937年の設立と状況

抗日戦争の始まりを背景に、1937年8月に中国の戦区が初めて分画されました。この時期、北平（現在の北京）と天津が日本軍によって迅速に占領され、中国との和平が不可能であることが明らかになったため、河北省と山東省の未占領地域が主要な戦域として設定されました。この年の第1戦区総司令には、初め国民政府軍事委員会の委員長であった蔣介石が就任しましたが、後に第2次上海事変への専念を理由に程潜に交代しました。

部隊編成としては、宋哲元が指揮する第1集団軍、劉峙が指揮する第2集団軍、そして衛立煌が指揮する第14集団軍が含まれていました。この際、各部隊は日本軍に対抗することが迫られていました。

2. 1938年の戦局の変化

1938年に入ると、日本軍の増援が急速に進み、華北での優位性が高まる中、上海の占領も行われました。これにより中国軍は華北の輸送線を切断され、戦局は新たな局面を迎えました。このため、国民革命軍は戦闘序列を見直し、第1戦区の区域拡張が行われました。これにより、北平から武漢へと続く新たなラインが戦域として設定されました。

この年の第1戦区には、商震の第20集団軍や、宋哲元の第1集団軍が含まれ、総勢で20万以上の兵力が動員されました。

3. 次の年々の発展

1939年には、司令長官として衛立煌が登場し、河南省や安徽省の一部を作戦地区として指定しました。この時、軍団には12個の歩兵師団と特殊部隊が編成され、戦力の強化が図られました。

1944年には、司令長官に胡宗南が就任し、陝西省南部を中心に戦局が展開され、この時点でも様々な軍が組織され、戦局に応じた動きが続きました。特に年末には戦後の受降区として、平漢鉄道路線北部と河南省の一部が日本軍捕虜集結地として位置づけられました。

4. まとめ

抗日戦争第1戦区は、中国が対日本軍戦略を実行するための中心的な区域であり、時折変わる戦況に応じてその編成や範囲が変更されました。このようにして、抗日戦争第1戦区は日本軍に対する継続的な抵抗と、国民政府の戦略的な応答を反映したものとなっています。

参考文献

• - 何応欽『日軍侵華八年抗戦史』（1982年、台北、黎明文化事業公司）

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