抗日戦争第3戦区

抗日戦争第3戦区の概要

抗日戦争第3戦区は、1937年の盧溝橋事件を受けて中華民国国民政府により設けられた戦闘区域の一つです。この戦区は主に中国国内で行われる日本軍に対する作戦に関与し、初めは江蘇省と浙江省がその範囲として定められました。しかし、戦況に応じてその範囲は数回にわたり変更されています。特に1938年、1939年、1944年の3回にわたる大規模な改編が行われ、戦区の位置づけが修正されました。

1937年の状況

1937年8月には、北平（北京）と天津が日本軍によって急速に占領され、日本との和平交渉が完全に失敗したことが背景にあります。この年の第3戦区は江蘇省と浙江省を中心に展開され、特に第2次上海事変では熾烈な戦闘が繰り広げられました。戦区の司令官には、初めは馮玉祥が任命され、後に蔣介石が指揮を兼任しました。戦闘には、以下の主要部隊が関与しました：

• - 第8集団軍（張発奎）
• - 第9集団軍（張治中）
• - 第10集団軍（劉建緒）
• - 第15集団軍（陳誠）
• - 第19集団軍（薛岳）

1938年の展開

1938年には顧祝同が司令官に就任し、依然として江蘇省と浙江省が主な作戦地域となりました。この年度には、戦闘力が増強され、以下の部隊が配置されました：

• - 第10集団軍（劉建緒）
• - 第19集団軍（羅卓英）
• - 第23集団軍（唐式遵）
• - 第28集団軍（潘文華）
• - 新編第4軍（葉挺・独立）
• - 独立第6旅団（周志群・独立）

この時期には、合計で24個の歩兵師団と6個の歩兵旅団が編成され、特種部隊と遊撃部隊はこれに加えられる形で展開しました。

1939年の改編

1939年も顧祝同が司令官をつとめましたが、作戦地域は広がり、江蘇省南部、安徽省南部、浙江省、福建省を含むようになりました。当年には次の部隊が編成されました：

• - 第25集団軍（陳儀）
• - 第10集団軍（劉建緒）
• - 第32集団軍（上官雲相）
• - 第23集団軍（唐式遵）
• - 新編第4軍（葉挺・独立）

結果、22個の歩兵師団と2個の歩兵旅団が訓練され、戦争に備えました。

1944年の状況

1944年には、依然として顧祝同が司令官として活躍し、次の集団軍が配置されました：

• - 第32集団軍（李黙庵）
• - 第25集団軍（李覚）
• - 第23集団軍（唐式遵）

この時期は、戦局が変化していく中で、特種部隊直轄及びその他の部隊が重要な任務に従事しました。

受降区の設置

1945年には、抗日戦争第3戦区が最終的に受降区として設けられ、江蘇省（上海を除く）、浙江省、福建省がその範囲として指定されました。この地域は日本軍の捕虜が集結する重要なポイントとなり、杭州市や厦門市がその代表的な場所となりました。
戦争の長期化によって、抗日戦争第3戦区は様々な戦術と戦略を駆使しながら、日本軍に対抗しました。

この戦区の活動は、後の中国の歴史においても大きな影響を与えることになります。

参考文献

何応欽『日軍侵華八年抗戦史』（1982年、台北、黎明文化事業公司）

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