招商局集団

招商局集団有限公司（China Merchants Group Limited）とは

招商局集団有限公司（CMG）は、中華人民共和国の国務院国有資産監督管理委員会が100%の株式を所有する、香港に登記された非公開の持株会社です。その歴史は古く、清朝末期の1872年に李鴻章の発案によって設立された半官半民の海運会社、輪船招商局にまで遡ります。現在では、海運、造船、港湾・高速道路・物流施設の運営、不動産開発、金融など、多岐にわたる事業を手掛ける巨大複合企業へと成長しました。

招商局集団の沿革

近代

1872年：李鴻章の発案により、輪船招商局（China Merchants Steam Navigation Company）が設立。官督商弁（半官半民）の経営形態で運営を開始。
1873年：上海に総局を設置。その後、中国沿岸の主要港に分局を置き、沿海海運、長江水運、京杭大運河水運を展開。
辛亥革命後：半官半民から民営化され、社名を「商弁招商局輪船公司」に変更。
1927年：国民党政府によって国有化され、「国営招商局」となる。

戦後

1949年：国民党政府が招商局を台湾に移転（現在の陽明海運）。中国大陸に残った事業は中国共産党政権に接収。
1951年：中国大陸の事業と資産は「中国人民輪船総公司」の管轄下に。香港分局は「招商局」の名称で活動を継続。
1962年：香港を経由する中国大陸からの物流をほぼ独占。
1979年：改革開放政策開始直後、広東省蛇口の工業団地開発に参画し、不動産開発事業に進出。
1982年：深圳赤湾港の開発に携わり、港湾開発事業に進出。
1985年：公社から持株会社制に移行し、「招商局集団有限公司」として中央政府交通部の直属企業となる。
1986年：香港の友聯銀行を買収し、金融業に進出。
1987年：中国本土初の株式制商業銀行「招商銀行」を設立。
1988年：「平安保険」の設立に発起人の一つとして参画。
1992年：「海虹集団」（現在の招商局港口控股）が香港証券取引所に上場。
1999年：交通部直属から中央政府直轄の中央企業となる。
2000年：友聯銀行を中国工商銀行に売却。
2017年4月：総合物流企業「中国外運長航集団有限公司（Sinotrans）」を吸収合併し、子会社化。

中国外運長航集団(Sinotrans)の沿革

Sinotransは、貨物フォワーダー業務において世界5位（2021年）、中国国内では首位（2024年）を誇ります。

1950年：政務院貿易部が7つの直轄専業対外貿易総公司を設立し、既存の対外貿易公司を再編・管理。
1952年：対外貿易部が貿易部から独立し、専業対外貿易総公司の管轄権を移管。同時に、専業対外貿易総公司は15社に増加。
1953年：専業対外貿易総公司の一つとして「中国陸運公司」が創設。
1955年：中国陸運公司が「中国対外貿易運輸公司」に改名。
1955年：中国対外貿易運輸公司が「中国租船公司」と合併し、「中国対外貿易運輸総公司」となる。
1973年：中国で初めてコンテナ船を使った海上輸送を試験。
1977年：中国で初めて、本土の貨物鉄道輸送と、香港・海外間の船舶輸送を連接した輸送業務を開始。
1979年：シベリア鉄道を用いた中国-欧州間のユーラシア大陸横断鉄道輸送を開始。
1980年：中国で初めて航空速達サービスを開始。陸海空総合物流業務を手掛ける企業となる。
1986年：ドイツDHL社との合弁会社「中国外運敦豪国際航空速達有限公司」を設立。
1996年：アメリカUPS社との合弁会社「中国外運北空UPS国際速達有限公司」を設立。
1997年：公社から持株会社制に移行し、「中国対外貿易運輸（集団）総公司」となる。
2002年：子会社の「中国外運股份有限公司」を設立し、沿海海運業務を統合。
2003年：子会社の中国外運股份有限公司が香港証券取引所に上場。
2003年：子会社の中外運航運有限公司を設立。
2009年：外航海運、長江・京杭大運河などの河川水運を主業務とする「中国長江航運（集団）総公司」と合併し、「中国外運長航集団有限公司」となる。

中国長江航運集団の沿革

1950年：長江水系の水運を管理する長江区航運局が創設。
1965年：長江区航運局に移管された港湾、航路、造船所を統合し、「長江航運公司」を設立。
1975年：「長江航運管理局」に改名。
1984年：港湾と航路を分離。航路担当として交通部直轄の「長江輪船総公司」を創設。
1991年：「中国長江輪船総公司」に社名変更。
1996年：公社から持株会社制に移行し、「中国長江航運（集団）総公司」となる。
2000年：重慶-上海間のコンテナ船輸送を開始。
2009年：総合物流を主業務とする「中国対外貿易運輸（集団）総公司」と合併し、「中国外運長航集団有限公司」となる。

主なグループ企業

招商局集団は、多岐にわたる事業を展開しており、以下のような主要なグループ企業を有しています。

招商局輪船股份有限公司
招商局蛇口工業区控股股份有限公司
招商局集団(香港)有限公司
China Merchants Union (BVI) Limited
China Merchants Investment Development Co., Ltd.
招商局港口控股有限公司
中国南山開発(集団)股份有限公司
深圳赤湾石油基地股份有限公司
深圳市新南山控股(集団)股份有限公司
深圳赤湾港航股份有限公司
赤湾集装箱碼頭有限公司
Mega Shekou Container Terminals Limited
蛇口集装箱碼頭有限公司
深圳聯運捷集装箱碼頭有限公司
安迅捷集装箱碼頭（深圳）有限公司
Pacific Paradise Assets Ltd.
現代貨箱碼頭有限公司
Eastern Option Ltd.
亜洲空運中心有限公司
招商局公路網絡科技控股股份有限公司
華北高速公路股份有限公司
山東高速股份有限公司
江蘇寧滬高速公路股份有限公司
安徽皖通高速公路股份有限公司
河南中原高速公路股份有限公司
湖北楚天高速公路股份有限公司
四川成渝高速公路股份有限公司
広西五洲交通股份有限公司
深圳高速公路股份有限公司
福建発展高速公路股份有限公司
吉林高速公路股份有限公司
黒竜江交通発展股份有限公司
招商局能源運輸股份有限公司
海宏輪船（香港）有限公司
香港明華船務有限公司
中国液化天然気（控股）有限公司
明華（シンガポール）代理有限公司
招商局深圳迅隆船務有限公司
招商局工業集団有限公司
友聯船廠有限公司
友聯船廠（蛇口）有限公司
招商局重工（深圳）有限公司
招商局重工（江蘇）有限公司
招商局鋁業（重慶）有限公司
中国国際海運集装箱（集団）股份有限公司
招商局物流集団有限公司
招商局海通貿易有限公司
招商局重慶交通科研設計院有限公司
招商局金融集団有限公司
招商銀行股份有限公司
招商證券股份有限公司
招商局中国基金有限公司
招商海達保険顧問有限公司
招商局保険有限公司
招商局資本投資有限責任公司
招商局地産控股股份有限公司
招商局置地有限公司
招商局漳州開発区有限公司
中国外運長航集団有限公司
中国外運股份有限公司
中外運空運発展股份有限公司
中国船務代理有限公司
中国外運大件物流有限公司
中外運化工国際物流有限公司
中国外運物流発展有限公司
中国外運股份有限公司工程設備運輸分公司
中国外運股份有限公司能源物流分公司
中国外運広東有限公司
中国外運福建有限公司
中国外運山東有限公司
中国外運陸橋運輸有限公司
中国外運長江有限公司
中国外運華東有限公司
中国外運天津有限公司
中国外運遼寧有限公司
中外運湖北有限責任公司
中国外運重慶有限公司
中国外運物業（香港）有限公司
中国外運バングラデシュ有限公司
中国外運（香港）集団有限公司
中外運航運（控股）有限公司
中外運航運有限公司
中国長江航運（集団）総公司
長江鳳凰股份有限公司
中国長江航運集団南京油運股份有限公司
長航集団船舶重工総公司
中外運長航重工金陵船厰
* 中外運長航重工青山船廠

これらの企業群は、招商局集団の事業ポートフォリオの多様性と広範さを示しています。

まとめ

招商局集団は、中国の経済発展において重要な役割を果たしてきた歴史ある企業です。その事業は、海運、物流、港湾、金融、不動産など、多岐にわたり、中国経済の成長を支える上で欠かせない存在となっています。中国外運長航集団との合併により、その規模と影響力はさらに拡大しており、今後の動向が注目されます。

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