振り逃げ

振り逃げ（ふりにげ）

振り逃げとは、野球のプレイ形式の一つで、打者が第3ストライクを打ち損じた際に、捕手がその球を正常に捕球できない場合に発生します。この状況で、打者はすぐに一塁に向かうことができ、捕手が打者に触球する前に一塁に達すればアウトにはなりません。振り逃げは一般には日本で使われる名ですが、英語では「Uncaught third strike」や「Dropped third strike」と呼ばれます。

振り逃げの発生条件

振り逃げが成立するためには、以下の条件を全て満たさなければなりません：

• - 第3ストライクの投球が捕手によって正常に捕球されなかったこと。
• - 一塁に走者がいないか、または二死の状況であること。
• - 打者が走塁を試みる意思を示したこと。

ここでいう「正常な捕球」とは、投手がノーバウンドで投げた球を捕手がしっかりと受け止め、手やミットで確実に掴むことを指します。捕手がボールを捕れなかった場合は、打者は振り逃げを試みることができます。

振り逃げとアウトカウント

一塁走者がいる場合、無死または一死の状況で振り逃げを許可しない理由は、守備側が意図的に第3ストライクを捕球しないことで簡単に併殺を狙えるためです。しかし二死の場合は、このリスクが無いため、振り逃げが可能となります。このプレイが成立した場合でも、打者には三振が記録され、pitcherには奪三振も記録されます。

振り逃げの歴史的背景

振り逃げに関する規則自体は、野球の早い段階から存在していました。1858年には、打者が打たなかった球にもストライクが宣告されるようになり、1880年には捕手が第3ストライクを捕球すれば打者はアウトになるというルールが導入されました。これにより、振り逃げのルールが確立されました。

実際の事例

振り逃げは、数多くの試合で重要な役割を果たしてきました。特にメジャーリーグや日本プロ野球の中での実際の事例が知られています。その中で特筆すべき事例として、1941年のワールドシリーズでのヤンキース対ドジャース戦が挙げられます。9回表、延長でのドジャースが有利に進める中、捕手が第3ストライクの球を捕り損ねたことで打者が振り逃げに成功し、結果的に逆転を許す展開となりました。

別の例として、2005年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズにおいて、ホワイトソックスのA.J.ピアジンスキーが振り逃げが成立し、その後のプレイでサヨナラ勝ちに貢献したことがあります。

まとめ

振り逃げは、一見の理解を求められるルールであり、その背後には攻守のバランスやプレイヤー間の競争の精神があることがわかります。打者が空振りをしたかどうかに関わらず、捕手がボールを捕れなかった場合に一塁へ走れる振り逃げの特性は、野球の試合をさらに興味深いものにしています。

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