揚雄

揚雄の生涯と業績

生い立ちと学問の道

揚雄（よう ゆう、紀元前53年 - 18年）は、中国の前漢時代末期に生きた文人であり、学者です。蜀郡成都県に生まれ、字は子雲と称される彼は、豊かな学問を求め、あらゆる書を読み漁って成長しました。その性格は大らかで、細かいことには目を向けず、他者との論議を好まない傾向がありました。彼は富や名声を求めることなく、貧しい家計の中でも安穏な生活を続けました。

若い頃の揚雄は、郷土の偉大な詩人である司馬相如から強い影響を受け、辞賦の作成に熱中しました。特に、屈原の『離騒』に触発され、その反響として『反離騒』を執筆し、屈原の悲劇に思いを馳せました。

京師への上京と職務

30歳を過ぎたころ、初めて都の京師へ上京した揚雄は、その文学の才能が認められ、待詔として仕官しました。皇帝成帝の羽猟に随行し、「羽猟賦」を奏上することで、彼はさらに昇進し、黄門に給事となりました。この時期、王莽や劉歆といった同僚たちとの交流が始まり、劉歆とは特に親しい関係を築きました。

揚雄は、班氏一門とのつながりも深め、この交友が彼の道家思想への理解を一層進めることとなったのです。郷里での博学な観点を維持しつつ、京洛においては自身の限界を知り、成帝の許しを得て3年間の休職を経て、多くの著作を残しました。

文学的功績

彼の代表作には「甘泉賦」「長揚賦」「逐貧賦」などがあります。南朝梁の劉勰は、揚雄の賦が先人たちの作品とは異なり、多くの経書を引用する点で学術的であると評価しましたが、当時の辞賦が単なる言葉遊びに堕する中で、揚雄もまたその限界を感じることとなりました。彼は最終的に「賦なる者は童子の雕蟲篆刻にして、壮夫は為さざるなり」と述べ、文学からの撤退を決意し、学問の研究へ身を投じました。

揚雄は、『太玄経』『法言』『方言』などの著作を残し、後世に多大な影響を与えました。『孟子』にも注釈を加えたとされ、その詳細は現存しませんが、彼の学問的貢献は大きなものでした。

揚雄投閣事件

揚雄の人生の晩年には、重要な事件がありました。新の王莽が漢の高祖の廟から皇帝の符を受け取って帝位に就くと、揚雄とその門人である劉棻はこの符の書式に関与した過去がありました。王莽の激怒を恐れた揚雄は、自ら天禄閣からの投身自殺を試みましたが、結果的には命に別状はなく、重大な怪我を負うに留まりました。この出来事は都中に広まり、揚雄自身の名声をさらに高めることとなりました。

彼はその後も約8年ほど生き、最終的に18年に71歳の生涯を終えました。揚雄の存在は、後世にも大いに語り継がれ、彼の業績は中国文学の重要な一部として歴史に刻まれています。

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