摩訶僧祇律

摩訶僧祇律とは

摩訶僧祇律（まかそうぎりつ）は、仏教の大衆部、特に摩訶僧祇部に受け継がれてきた大切な律の一つです。この律は、十誦律、四分律、五分律と並んで「四大広律」と呼ばれるグループの一部を成しています。これらの律は、仏教の実践や戒律において重要な役割を果たしています。

成立と背景

摩訶僧祇律は、東晋時代に中国大陸で成立しました。この時代は、仏教が中国に広がりを見せ、様々な学派や教義が変遷していた時期でもあります。摩訶僧祇律は、仏駄跋陀羅と法顕による共訳として知られています。特に、法顕は中国からインドへの仏教経典の旅を記録した重要な僧侶であり、彼の貢献はこの律の成立にも寄与しています。

内容と構成

摩訶僧祇律は、全40巻にわたっており、その内容は非常に豊富です。律は、さまざまな戒律や規則に関する詳細な記述を提供しています。特に、四波羅夷法に関する記述は詳細で、仏教徒が遵守すべき行動基準について深く掘り下げています。律の中には、戒律を守るための指針や、仏教徒としての理想的な行動が明記されており、信者たちにとって重要な指導原則となっています。

また、この律には多くの本生譚（ジャータカ）が含まれています。本生譚は、仏陀の前世の物語を描いており、仏教の教えを物語形式で伝える方法です。これにより、読者や修行者は物語を通じて教訓を学ぶことができ、倫理的な価値観を新たにすることができます。

重要性と影響

摩訶僧祇律は、仏教徒にとっての教義のバイブルとも言える存在であり、戒律を通じて仏教の実践を深めるための重要な資料です。この律の教えは、信者が日常生活の中で実践すべき道徳的かつ精神的な価値を強調しています。また、律を通じて、教義を軸にしたコミュニティの形成を促進し、仏教徒の結束を生んできました。

関連資料

摩訶僧祇律に関連する文献として、佐々木閑の『インド仏教変移論』や『国訳一切経印度撰述部 律部』などがあります。これらの資料は、摩訶僧祇律の理解を深めるための貴重な補助資料となるでしょう。特に、佐々木の著作は仏教の変遷を考察する上での貴重な視点を提供しています。

このように、摩訶僧祇律はただの戒律集ではなく、仏教徒にとって生活や思考の指針となる重要な文書です。

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