改秋月型駆逐艦

改秋月型駆逐艦

改秋月型駆逐艦は、日本海軍が計画した駆逐艦であり、秋月型駆逐艦の速力強化型として位置づけられていました。しかし、時代の波にのまれ、全艦が建造中止という憂き目に遭いました。

計画の経緯

[1939年]の[④計画]]において、日本海軍は甲型駆逐艦]と乙型[駆逐艦]の建造を決定しました。続く[1942年]の[[⑤計画では、甲型16隻、乙型16隻が計画されました。

この⑤計画において、駆逐艦の速力向上が図られ、甲型は島風型、乙型は本型(改秋月型)となる予定でした。乙型には艦型番号V7が付与されましたが、軍令部の要求には至りませんでした。

ミッドウェー海戦後の改⑤計画では、乙型駆逐艦として「第5061号艦」から「第5083号艦」までの23隻の建造が計画され、そのうち16隻が従来の秋月型、最後の7隻が改秋月型として予定されました。甲型駆逐艦の計画が8隻削減され、その予算で乙型駆逐艦7隻が追加される形となりました。

当初の計画では、高圧機関の調達が困難であったため、改[⑤計画]]では通常の秋月型16隻に変更され、甲型[[駆逐艦]に搭載予定の主機を流用して、建造に時間のかかる7隻に搭載される予定だったとも伝えられています。

[1943年]10月27日には艦名案が内定しましたが、戦局の悪化により、[1944年]5月5日に7隻全てが建造中止となりました。

歴史研究家の遠藤昭氏は、この16隻について「初めの計画のままならば『山月型』と呼ばれ、計画変更により建造されていれば『北風型』と呼ばれたのではないか」と推測しています。

艦型

改⑤計画における軍令部の要求は以下の通りでした。

基準排水量：約3,100トン
速力：約35.5ノット
航続距離：8,000カイリ/18ノット
兵装：[④計画]]の駆逐艦](秋月型)に準じるが、25mm3連装機銃4基・6連装[[魚雷発射管1基・魚雷6本に改める

決定した主要目は以下の通りです。

機関：島風に搭載予定の機関を採用、75,000馬力で36.7ノットを予定
缶(ボイラー)：ホ号缶の搭載を予定、重油搭載量は秋月型の1,080トンから1,025トンに減少
機関配置：松型駆逐艦で採用されたシフト配置を採用
船体：秋月型より水線長で2m長く、幅は0.4m増、深さは0.1m増とわずかに大型化
吃水：秋月型と同じ4.15m
基準トン'>[排水量]]：3,030[[トン]
公試トン'>[排水量]]：3,580[[トン]
兵装：主砲は秋月型と同様、機銃は3連装4基に強化、仮称三式61cm6連装発射管1基(予備魚雷なし)

艦容については詳細な記録は残っていませんが、遠藤昭氏によれば秋月型と同じ集合煙突が採用されると考えられ、大きな変化はなかったと推測されています。

同型艦

⑤計画艦16隻

仮称艦名「第770号艦」から「第785号艦」

改⑤計画艦7隻 (全て1944年5月5日に建造中止)

第5077号艦 - 北風(きたかぜ) - 佐世保海軍工廠で建造予定
第5078号艦 - 早風(はやかぜ) - 浦賀船渠で建造予定
第5079号艦 - 夏風(なつかぜ) - 佐世保海軍工廠で建造予定
第5080号艦 - 冬風(ふゆかぜ) - 舞鶴海軍工廠で建造予定
第5081号艦 - 初夏(はつなつ) - 浦賀船渠で建造予定
第5082号艦 - 初秋(はつあき) - 佐世保海軍工廠で建造予定
第5083号艦 - 早春(はやはる) - 浦賀船渠で建造予定

関連項目

秋月型駆逐艦

参考文献

遠藤昭『高角砲と防空艦』原書房、2009年8月
牧野茂、福井静夫 編『海軍造船技術概要』今日の話題社、1987年5月
「歴史群像」編集部著、田村俊夫、水谷清高『歴史群像太平洋戦史シリーズVol.23 秋月型駆逐艦』学習研究社、1999年
雑誌『丸』編集部『丸スペシャル No.19 日本海軍艦艇シリーズ 駆逐艦朝潮型 秋月型』（潮書房、1978年）
雑誌『丸』編集部 編『写真日本の軍艦 第11巻 駆逐艦II』光人社、1990年6月

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