政尾藤吉

政尾藤吉（まさお とうきち）

生涯

政尾藤吉は、1871年（明治3年）1月7日に伊予国喜多郡大洲町（現在の愛媛県大洲市）で、大洲藩御用商人である政尾勝太郎の長男として生まれました。17歳で故郷を離れ、大阪のミッション・スクールを経て慶應義塾に入学。その後、東京専門学校（現在の早稲田大学）を卒業しました。関西学院神学部では、宣教師サミュエル・ウェンライトの家に寄宿し、パルモア学院で英語教師を務めました。ウェンライトは政尾を「まれにみる秀才」と評しました。

アメリカ留学

1891年、政尾はアメリカへ留学し、当初はヴァンダービルト大学神学部に在籍しましたが、後にウェストバージニア大学ロースクールに転じ、1895年に卒業。さらにイェール大学で法学修士号を取得し、翌年には同大学から民事法博士号を授与されました。法学分野において高い専門性を身につけました。

シャムでの活躍

帰国後、ジャパン・タイムズの記者として活動した後、外務省の委嘱によりシャム（現在のタイ）へ派遣されました。1898年に総務顧問補佐、1902年に法律顧問、そして1903年には主席法律顧問に就任し、1913年までその職を務めました。シャムでは、法典編纂に尽力し、同国の法制度の近代化に大きく貢献しました。その功績から侯爵に叙任され、王族待遇を受けるなど、高い評価を受けました。

政治家としての活動

シャムから帰国後、政尾は政界に転身し、1915年の第12回[[衆議院議員総選挙]]で当選。1917年の第13回[[衆議院議員総選挙]]でも再選を果たしました。立憲政友会に所属し、政治家としても活躍しました。

駐シャム公使と晩年

1920年12月、政尾は駐シャム公使に任命されましたが、翌1921年8月に在任中に病のため逝去しました。国際舞台で活躍した先駆者として、その功績は後世に語り継がれています。

家族

父：政尾勝太郎（大洲藩御用商「政屋」主人）
妻：光（九鬼隆一の養女）

栄典

1905年（明治38年）6月27日 - シャム王国白象第三等勲章

参考文献

『衆議院要覧下巻 大正六年十一月』衆議院事務局、1917年。
法学博士政尾藤吉（国立公文書館 アジア歴史資料センター）
特命全権公使政尾藤吉特旨叙位ノ件（国立公文書館 アジア歴史資料センター）
香川孝三「政尾藤吉伝(1) : 法律分野での国際協力の先駆者」『国際協力論集8 (3)』、神戸大学大学院国際協力研究科、2001年
香川孝三「政尾藤吉伝(2) : 法律分野での国際協力の先駆者」『国際協力論集9 (1)』、神戸大学大学院国際協力研究科、2001年
香川孝三「政尾藤吉伝(3) : 法律分野での国際協力の先駆者」『国際協力論集9 (2)』、神戸大学大学院国際協力研究科、2001年
香川孝三「政尾藤吉伝(4) : 法律分野での国際協力の先駆者」『国際協力論集9 (3)』、神戸大学大学院国際協力研究科、2002年
* 香川孝三「政尾藤吉伝(5) : 法律分野での国際協力の先駆者」『国際協力論集10 (1)』、神戸大学大学院国際協力研究科、2002年

もう一度検索