文帝 (陳)

文帝（ぶんてい）

文帝は、南朝陳の第2代皇帝であり、初代皇帝・武帝（陳霸先）の甥にあたります。姓は陳、諱は蒨（せん）です。側近の韓子高と男色関係にあったことでも知られています。

生涯

文帝は、陳霸先の長兄である陳道談の長男として生まれました。幼い頃から叔父である陳霸先に従い、侯景の乱の討伐に参加し、その武勇を発揮しました。呉興郡太守に任命され、宣城郡からの侵入者を討伐するなど、各地の反乱鎮圧に貢献しました。

553年には、信武将軍の位を受け、監南徐州を務めました。翌年には、陳霸先が北伐で広陵を攻撃した際、先鋒として活躍しました。

555年、陳霸先が王僧弁を討つ際、王僧弁の娘婿である杜龕が呉興郡に拠っていたため、陳蒨は陳霸先の命を受け、故郷の長城県に戻り、杜龕の進攻に備えました。わずかな兵力で杜龕の部将である杜泰を撃退し、その後、陳霸先が派遣した周文育と合流し、杜龕を撃破しました。さらに、東揚州刺史の張彪が臨海郡太守の王懐振を包囲すると、周文育とともに会稽に赴き、張彪を撃破しました。これらの功績により、使持節・都督会稽等十郡諸軍事・宣毅将軍・会稽郡太守に任じられました。その後も山越の乱を鎮圧するなど、軍事的な手腕を発揮しました。

557年、陳霸先が南朝陳を建国すると、臨川郡王に封じられ、侍中・安東将軍の位を受けました。周文育と侯安都が沌口で王琳に敗れると、陳蒨は武帝の下で軍事を委ねられ、南皖に築城しました。

559年6月に武帝が崩御すると、章太后の命により南皖から召し出され、皇帝に即位しました。在位中は北周との和平を結び、王琳を郢州から追放し、北斉の介入を退けました。また、各地に割拠する周迪、留異、陳宝応らの独立勢力を撃破し、江南における陳の支配を確立しました。その後は、賦役の減免、奴婢の解放、倹約令の奨励など、内政に力を注ぎ、陳の国力基盤を固めました。

566年に崩御し、諡号は世祖です。

妻子

后妃

文皇后 沈妙容
厳淑媛
潘容華
劉昭華
王充華
張修容
韓修華
江貴妃
孔貴妃

男子

廃帝 陳伯宗（奉業）- 母は沈皇后
始興王 陳伯茂（鬱之）- 母は沈皇后
鄱陽王 陳伯山（静之）- 母は厳淑媛
新安王 陳伯固（牢之）- 母は潘容華
晋安王 陳伯恭（粛之）- 母は厳淑媛
衡陽王 陳伯信（孚之）- 母は劉昭華
廬陵王 陳伯仁（寿之）- 母は王充華
江夏王 陳伯義（堅之）- 母は張修容
武陵王 陳伯礼（用之）- 母は韓修華
永陽王 陳伯智（策之）- 母は江貴妃
桂陽王 陳伯謀（深之）- 母は孔貴妃

女子

豊安公主（留異の子の留貞臣の妻）
富陽公主（侯瑱の子の侯浄蔵の妻、柳敬言の弟の柳盼に再嫁）

文帝は、武勇に優れ、内政にも手腕を発揮した名君として知られています。また、同性愛者であったことでも歴史に名を残しています。

もう一度検索