文雄 (僧)

文雄の生涯と業績

文雄（もんのう）は、元禄13年（1700年）から宝暦3年9月22日（1763年10月28日）まで生きた江戸時代中期の学僧、音韻学者です。彼は俗姓を中西氏とし、字は豁然、号は無相・尚絅堂・蓮社を持ちます。

生い立ちと教育

文雄は丹波国桑田郡の濃野村に誕生しました。幼い時期に同郡の玉泉寺で剃髪し、京都の了蓮寺にて誓誉から学びました。後に江戸に出て、伝通院で学びながら、様々な典籍にふれ、知識を深めます。この時期に学んだことが、彼の後の研究や著作に大きく影響を与えることになります。

彼は太宰春台から、漢籍は中国語の音に従って読むべきであると教えられ、音韻学の研究に注力するようになります。彼の音韻学に対する探求は、その後の彼の活動において重要な役割を果たします。

音韻学の研究と著述活動

文雄は、韻鏡や暦数の研究を進め、講話や著作活動にも力を入れました。彼の著作は多岐にわたり、特に音韻学や和字に関する研究が評価されています。1751年には桂林寺に引退し、研究の日々を送ります。特に音韻学に関しては、彼の提唱する理論や概念は、後の学問においても影響を及ぼしました。

1763年の5月には阿波や讃岐を遊覧し、その後京都に戻った際には、彼の生涯における学びを深める時間を得たことでしょう。しかし同年9月に彼は入寂し、64年の生涯を全うしました。

主な著作

文雄は数多くの著書を残しており、その中には以下のものが含まれます。

• - 『磨光韻鏡』
• - 『和字大観抄』
• - 『韻鏡律正』
• - 『韻鏡至要録』
• - 『翻切伐柯編』
• - 『三音正偽』
• - 『九弄辨』
• - 『経史荘嶽音』
• - 『字彙荘嶽音』
• - 『専雜甄陶篇』
• - 『古今韻括』
• - 『廣韻字府』
• - 『非出定後語』など。

特に『非出定後語』は、富永仲基による『出定後語』への批判を含んでいますが、内藤湖南からはその学問的価値について疑問を呈されました。また、『九山八海解嘲論』は須弥山説を擁護するもので、本居宣長によって批判を受けた作品でもあります。

文雄の評価

文雄はその学識と著作を通じて、江戸時代の音韻学の発展に寄与しました。特に彼の考えは、後の学者たちに影響を与え、きわめて重要な学問的基盤を築くことになりました。彼の業績は、今なお音韻学の研究の中で参照され、評価されています。文雄のような学者が残した知識や思想は、時代を超えて研究者たちにとっての貴重な資源となっています。

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