斎藤憐

斎藤憐について

斎藤憐（さいとう れん）は、1940年12月25日に、日本統治時代の朝鮮半島、平壌で生まれました。本名は安彦憐（あびこ れん）です。物心ついた頃から演劇に興味を持ち、成蹊小学校から成蹊中学校・高等学校へ進学し、在学中は演劇部に携わっていました。高校を卒業後、早稲田大学第二文学部の露文科に入学しましたが、中退。その後、1966年には俳優座養成所を卒業し、劇団自由劇場の設立に参加しました。

劇作家としてのキャリアは、彼が1968年に佐藤信による「演劇センター68」の設立に参加した時に始まります。その後、彼の作品は日本の演劇界で次第に評価されるようになりました。1980年には、串田和美の演出による『上海バンスキング』で岸田國士戯曲賞を受賞。この作品は、長きにわたって再演が行われ、多くの観客に愛されました。この成功以後、斎藤は串田や吉田日出子が所属するオンシアター自由劇場に脚本を提供し続けました。

劇団の解散後も、彼の作品は多くの賞を受賞しています。1997年には『カナリア』で菊田一夫演劇賞、2005年には『春、忍び難きを』で紀伊國屋演劇賞、そして2006年には鶴屋南北戯曲賞を授与されました。彼の創作活動は戯曲に留まらず、西條八十の評伝や『昭和不良伝シリーズ』など、エッセイや評論の執筆も行っており、多岐にわたりました。

2009年4月には、杉並区立杉並芸術会館（座・高円寺）の館長に就任し、ここでも演劇界に貢献しました。また、NPO法人劇場創造ネットワークの理事長として、その役割を果たしました。斎藤は、井上ひさしや別役実と共に日本劇作家協会の設立にも参加し、演劇界の発展に寄与しました。

彼の脚本はテレビドラマにも多く取り上げられ、1975年の『6羽のかもめ』や『さようならの夏』、1976年の『大都会 闘いの日々』など、多くの作品が放送されました。1977年には『大都会 PARTII』、1978年には『東京メグレ警部シリーズ』など、様々なジャンルで活躍しました。1980年から1981年には『愛のA・B・C・D』が放送され、1985年には『昭和ラプソディ』が制作されるなど、マルチな才能を発揮しました。

斎藤憐は2011年10月12日に、食道腫瘍による肺炎のため東京都杉並区の自宅で70歳で亡くなりました。彼の作品や影響力は今なお、多くの演劇ファンや後進の劇作家たちに受け継がれており、日本の演劇界に多大なる足跡を残しました。彼の独自の視点と表現力は、今も見えないところで光を放ち続けているのです。

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