斑れい岩(はんれいがん)とは
斑れい岩(がぶろ、
英語: gabbro)は、地下深くでマグマがゆっくりと冷え固まってできた
深成岩の一種です。地表に噴出したマグマが急冷してできる
火山岩の
玄武岩と化学組成が似ていますが、組織や鉱物の結晶の大きさなどが異なります。斑れい岩は、
有色鉱物である
角閃石や
輝石を多く含むため、全体的に黒っぽい色をしています。しかし、ペグマタイト質のものは、斜長石の白い部分が目立つこともあります。また、
磁鉄鉱などの鉱物を含んでいることもあります。
斑れい岩の構成鉱物
斑れい岩の主要な構成鉱物は斜長石です。
無色鉱物のほとんどが斜長石であり、アルカリ長石や
石英はほとんど含まれていません。この点が、
閃緑岩との大きな違いです。
斑れい岩と閃緑岩の違い
斑れい岩と
閃緑岩は、どちらも
深成岩ですが、斜長石の灰長石成分(An)の割合によって区別されます。斜長石の灰長石成分が50%より少ない場合(An<50)は
閃緑岩、50%より多い場合(An>50)は斑れい岩と分類されます。
斑れい岩の種類
斑れい岩には、含まれる鉱物の種類によって、いくつかの種類があります。アルカリ長石が含まれるようになるとモンゾ斑糲岩、
石英が含まれるようになると
石英斑糲岩、アルカリ長石と
石英の両方を含むと
石英モンゾ斑糲岩となります。
斑れい岩の語源
斑れい岩の
英語名であるgabbroは、
イタリアの工芸家が使用していた石材名に由来します。当初は蛇紋岩や
輝石からなる特殊な
火成岩に対して使われていましたが、
1810年にドイツの地質学者レオポルト・フォン・ブーフによって、
岩石名として採用されました。その後、現在のような意味で使われるようになりました。
日本語訳の由来
日本語の「斑れい岩」という訳語は、地質学者の
小藤文次郎が
1884年(
明治17年)に作りました。「糲」は「くろごめ(
玄米)」を意味し、粒状で黒い斑点がある石を表しています。
明治初期には「飛白石」「カスリイシ」という訳語も使われていましたが、これらは白い斜長石と黒い
輝石が白黒の斑点に見えることに由来しています。
関連情報
岩石
火成岩
深成岩
岩石の一覧
玄武岩(火山岩)
参考文献
久城育夫、荒牧重雄、青木謙一郎『日本の
火成岩』岩波書店、1989年、ISBN 4-00-005766-9。
豊遙秋・青木正博『検索入門 鉱物・岩石』保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。
外部リンク
斑れい岩(地質標本館)
*
Classification of Igneous Rocks - flow chart