斜陽のおもかげ

映画『斜陽のおもかげ』について

『斜陽のおもかげ』は、1967年に公開された日本映画であり、日活の助監督であった斎藤光正の初監督作品として知られています。原作は、作家・太宰治と太田静子の間に生まれた太田治子が17歳の時に発表した『手記』です。この作品は、太宰治の娘の視点から、作家の影と、時代の中で没落していく家族の姿を描き出しています。

映画化の経緯

太田治子の『手記』は、1965年に『新潮』に掲載され、1967年には新潮社から単行本として出版されました。その内容は、当時の社会に大きな反響を呼びました。映画化にあたっては、八住利雄が脚本を担当し、斎藤光正が監督を務めました。映画では、太田治子と太田静子の名前がそれぞれ「木田町子」「木田かず子」と変更されています。

作品の特色

映画の大きな特徴は、太宰治ゆかりの地を巡るシーンに、関係者本人が出演している点です。例えば、石神井公園近くの檀一雄の自宅では、檀自身が吉永小百合演じる町子に太宰の思い出を語ります。また、青森県外ヶ浜町の観瀾山公園では、太宰の少年時代の友人である中村貞次郎が、本人役でかず子を案内します。さらに、青森県金木町（現・五所川原市）の斜陽館も撮影に使用され、建物の内部が詳細に描写されています。これらの演出によって、作品にリアリティと深みが加わっています。

キャスト

木田町子：吉永小百合
木田かず子：新珠三千代
谷山圭次：岸田森
谷山新一郎：芦田伸介
谷山千賀：高杉早苗
岡見安子：笹森みち子
つる：北林谷栄
津田文蔵：三津田健
ジャーナリスト：小池朝雄
檀一雄：本人
中村貞次郎：本人

スタッフ

監督：斎藤光正
脚本：八住利雄
原作：太田治子『手記』
企画：横山弥太郎
音楽：林光
撮影：萩原憲治
編集：丹治睦夫

公開と評価

『斜陽のおもかげ』は、1967年9月23日に公開され、同年の日活作品の中で『夕笛』と並ぶヒット作となりました。吉永小百合の演技が高く評価されたことはもちろん、太宰治の世界観を映像化した点も注目されました。

関連情報

この映画は、太宰治の代表作である『斜陽』とも関連しています。また、映画をより深く理解するためには、太田治子の『手記』を読むことをお勧めします。

斜陽のおもかげ - KINENOTE
斜陽のおもかげ - allcinema
* 斜陽のおもかげ - IMDb（英語）

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