新・子連れ狼

新・子連れ狼

『新・子連れ狼』は、小池一夫原作、森秀樹作画による漫画作品。『週刊ポスト』で2003年から2006年にかけて連載されました。小池一夫・小島剛夕による傑作漫画『子連れ狼』の続編であり、小島剛夕が2000年に逝去されたため、作画原案者としてクレジットされています。

あらすじ

八丁河岸の決闘で父・拝一刀の仇である柳生烈堂を討った拝大五郎。しかし、父の遺体を守り抜こうとするも、力尽きて倒れてしまいます。そこへ偶然通りかかった東郷重位に助けられ、大五郎は重位と共に武者修行の旅に出ることに。しかし、その旅の裏では、重位の旧主である薩摩藩・島津家を滅ぼそうとする老中・松平伊豆守の陰謀が渦巻いており、大五郎は再び冥府魔道を歩むことになります。

主な登場人物

本作の特徴として、史実とは異なる時代設定の人物が多数登場します。

拝大五郎（おがみ だいごろう）：父・拝一刀の遺志を継ぎ、冥府魔道を歩む。

松平伊豆守（まつだいら いずのかみ）：江戸幕府の老中。薩摩藩を危険視し、島津家を滅ぼそうと画策する。島原の乱での薩摩藩の対応や、その知略から「智恵伊豆」と呼ばれていたことが語られる。公方からの信頼も厚い。

松平は、公方の娘・綾姫を利用し、島津家を陥れる策略を巡らせます。自らの死を偽装し、島津光久になりすまして鹿児島に潜入。綾姫の輿入れを快諾させ、その後に綾姫を変死させることで、島津家を滅亡に追い込もうとします。

綾姫（あやひめ）：公方の娘。過去に二度の婚約が破談になっている。「不吉の子」として疎まれており、松平の策略によって島津家へ嫁ぐことになる。

間宮林蔵（まみや りんぞう）：老中・松平伊豆守の隠し子。表向きは若年寄・大久保加賀守配下の隠密。かつては蝦夷地の調査を行い、ロシア語を習得した。松平の命を受け、薩摩藩に潜入。「ロシア人」を装い、調所笑左衛門広郷の家に保護され、後にその娘と結婚し、調所家を継ぐ。鯨を用いた藩財政の立て直しに成功し、島津光久の信頼を得る。島津家を欺くために暗躍する。

東郷重位（とうごう しげかた）：元薩摩藩士で、島津光久の剣術指南役。武者修行の旅の途中で大五郎と出会い、行動を共にする。示現流の使い手。松平の陰謀に巻き込まれ、島津家を守るために奔走する。

八丁河岸で大五郎を助けた際、自らの刀と拝一刀の刀が同じ刀工によるものであること、そして自身の同太貫が一刀の鞘に寸分の狂いもなく納まることを見せ、一刀が大五郎の身を自分に委ねたのだと説得し、共に旅に出る。

松平の策略により光久が暗殺された後は、光久の右目をくり抜き、復讐を誓う。竹姫闇蔵の遺言に従い、公方暗殺のため大五郎と共に江戸へ向かう。

島津光久（しまづ みつひさ）：薩摩藩主。東郷重位に示現流を学んでいた。関ヶ原の戦いでの立ち回りや、島原の乱での幕府への非協力的な態度から、幕府や松平に危険視されている。松平の策略により、綾姫を孫の嫁として迎え入れることになるが、最終的に松平に暗殺される。

各地に放った密偵からの報告で重位が薩摩藩の浮沈に関わる秘事を握っていることを知り、軍船で鹿児島を出航、枚方で重位と再会するも、牛久呑鬼の襲撃を受け暗殺される。

物語の展開

松平伊豆守の陰謀は複雑に絡み合い、多くの人物を巻き込んでいきます。大五郎と東郷重位は、松平の野望を阻止するため、そして島津家を守るために、壮絶な戦いに身を投じていくことになります。史実を大胆にアレンジした世界観、個性的なキャラクターたちが織りなすドラマは、読者を飽きさせません。

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