新井卓

新井卓のプロフィール

新井卓（あらい たかし、1978年生まれ）は、日本の美術家、写真家、映画監督で、現在はベルリンを拠点に活動しています。彼は神奈川県川崎市で生まれ、その後、多様な形式での創作活動を展開しています。特に注目すべきは、彼が独自にダゲレオタイプ（銀板写真）と呼ばれる古典的な写真技法を習得した点です。この技術を用いて彼は作品を制作し、国内外で広く発表しています。近年では映画制作や執筆活動、共同研究など学際的なアプローチにも取り組んでいます。

受賞歴と主な作品

新井は数々の賞を受賞しており、2014年に英国のSource-Code Prizeを受賞しました。2016年には第41回木村伊兵衛写真賞や日本写真協会賞新人賞、神奈川文化賞未来賞を獲得し、その才能が認められました。また、彼の映像詩『オシラ鏡』は、2018年に第72回サレルノ国際映画祭にて短編映画部門の最高賞を受賞しています。これにより、彼の活動が国際的にも評価されるようになりました。

新井の作品はさまざまな著名な美術館に収蔵されており、スミソニアン博物館やギメ東洋美術館、サンフランシスコ近代美術館、ボストン美術館、そして日本国内の東京国立近代美術館や東京都写真美術館など、多数の機関が彼の作品を収めています。彼の作品は、視覚芸術における強いメッセージ性と、個々の文化が持つ固有の物語を巧みに織り交ぜることによって、観る者に深い印象を与えます。

主な著作

新井は執筆活動にも力を入れています。代表的な著書に『百の太陽／百の鏡 写真と記憶の汀』や、写真集の『MONUMENTS』、子供向けの『ドイツ丘の上の小さなハカセクラース』があります。これらの著作は、彼の作品や思考を深く掘り下げたものであり、写真だけでなく、文字を通しての芸術表現の一端を担っています。特に『フィールド科学の入口災害とアートを探る』は共著として、アートと科学が交差する興味深い視点を提供しています。

来歴と展示歴

新井は1978年に神奈川県川崎市で生まれ、その後、2001年に国際基督教大学を中退し、2004年に東京綜合写真専門学校を卒業しました。彼のキャリアは、展覧会の開催や国際的なフォーラムへの参加を通じて広がっており、2023年には『日日（にちにち）の鏡/Quotidian Mirrors』や『誰かのシステムがめぐる時』といった個展が東京で開催されました。また、2024年にはアルル国際写真祭においても展覧会が予定されています。

また、講師としても実績があり、遠野文化研究センターや国立民族学博物館での研究経験を持ち、和光大学や京都造形芸術大学で非常勤講師を務めてきました。彼の学問的背景と実践が融合し、教育に対する情熱と世代を超えた交流の場を提供しています。

まとめ

新井卓は、古典的な技法と現代の視覚芸術を融合させることで、独自のスタイルを確立し続けている美術家です。彼の活動は多岐にわたる分野に広がり、今後の展開がますます期待されるアーティストです。

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