新保守主義

新保守主義 (Neoconservatism)

新保守主義は、その定義が明確ではないまま、さまざまな政治的背景の中で形成された概念です。この思想は旧保守と新しい保守の分別を目指していますが、その内容は時代や国によって変化し続けています。特に、1950年代から1980年代にかけての動向に着目すると、新保守主義の本質が見えてきます。

1950年代の新保守主義

この時期の新保守主義は、旧来の保守主義者が社会福祉の政策を取り入れる形で誕生しました。漸進的な政策を通じて、過去の反動に縛られずに社会を改善する方向性を持っていました。主にアメリカやイギリスにおける政治の中で、保守党の新しい姿勢として認識されていました。

1980年代の変化

1980年代に入ると、新保守主義はより一層具体的な形を取ります。この時代には、1970年代の社会民主主義や自由主義に代わり、ニューライトと呼ばれる新たな保守的潮流が登場しました。ニューライトは時として新保守主義として扱われることもあり、アメリカやイギリスの政治シーンに大きな影響を与えました。

アメリカにおける新保守主義

特にアメリカでは、ネオコンと呼ばれる勢力が注目されます。このグループは、1930年代に活動を開始した反スターリン主義の左派知識人たちによるもので、ニューヨーク市立大学シティカレッジを拠点に活動していました。彼らは当時のアメリカの対外政策に失望し、それを変革しようとする思想的基盤が形成されました。

伝統的なアメリカの保守主義は、モンロー主義に基づく孤立外交を重視していましたが、ネオコンはグローバルな視点から自由主義や民主主義の拡大を重視しました。特に中東問題に関しては、イスラエルを民主主義国家として周辺の独裁政権を打破することを目指すという独特な姿勢が見られます。

新保守主義の影響力の拡大

1970年代から多くのネオコンは民主党から共和党へと移行し、レーガン政権下で強い影響力を発揮しました。特に外交や軍事戦略において、その存在感を増していきました。レーガン大統領はネオコンのジーン・カークパトリックを外交顧問に任命し、ソ連を「悪の帝国」と呼ぶなど対外政策でもネオコンの考え方を取り入れる姿勢を見せました。

ただし、レーガン政権の後半には柔軟な対話路線に転換し、ネオコンの影響力は減退していきました。

ブッシュ政権とネオコン

ブッシュ政権は、再びネオコンの影響を受け、イラク戦争を開始しました。大量破壊兵器を口実にしたこの戦争は、その後見つからなかったことで大きな批判を受けました。戦争によってアメリカはイラクの石油資源を掌握し、他の石油大国であるロシアやイランとも関係が複雑化しました。

さらに、リビアではネオコンのポール・ウォルフォウィッツがガダフィ政権を転覆するための謀略に関与したとされます。

現代の展望

新保守主義の代表的な人物であるジョン・ボルトンは、その後もイランや北朝鮮への軍事行動を主張し続けています。このように、新保守主義は過去の思想を背景に持ちながらも、現代の政治力学の中で新たな道を模索し続けています。その影響は今後も続くでしょう。

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