新庄祐治郎

新庄祐治郎は、1883年（明治16年）に京都で生まれ、1951年（昭和26年）に生涯を閉じた内務・朝鮮総督府官僚です。彼は政友会系の官選県知事としても知られています。

生い立ちと初期のキャリア

新庄は京都市上京区で生まれ、第五高等学校を経て、1909年7月に京都帝国大学法科大学法律学科（独法）を卒業しました。1910年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、翌1911年に内務省に入省、京都府警部としてキャリアをスタートさせました。

地方官僚としての活躍

その後、新庄は地方官僚として様々な役職を歴任しました。山口県では厚狭郡長、玖珂郡長、理事官を務め、その後も鹿児島県、静岡県で理事官を歴任しました。さらに、朝鮮総督府に移り、事務官、慶尚北道第三部長、同道警察部長、総督府警務局高等警察課長といった要職を歴任しました。帰国後は、福岡県警察部長、和歌山県、広島県、愛知県、福島県の各県で書記官・内務部長を歴任し、地方行政の中枢を担いました。

知事としてのキャリア

1928年5月には佐賀県知事に就任しました。新庄は政友会系の知事でありましたが、その政治姿勢は特定の政党に偏ることなく、民政党が優勢な県議会との間で大きな対立は起こりませんでした。しかし、県議会の政友会議員からは不満の声が上がり、中央に対して知事更迭の動きが起こりました。1929年1月には青森県知事に転任し、青森県での政友会分裂の調停に尽力しました。しかし、濱口内閣の成立に伴い、同年7月に休職となりました。1931年12月には犬養内閣によって滋賀県知事に任命されました。滋賀県知事時代には、敦賀と琵琶湖を結ぶ大運河構想や中ノ湖干拓計画を推進しようとしましたが、犬養内閣の崩壊により、在任約半年で1932年6月28日に休職となりました。退任時には、知事室の壁に落書きをしたという逸話が残っています。

退官後の活動

知事を退任した1932年に官僚としてのキャリアを終えました。その後、新庄は著述活動を行い、1938年には『「心の国」日本と「物の国」英国!』、1940年には『新東亜を阻む世界の驕児米国』を出版しました。これらの著書からは、新庄の国家観や世界情勢に対する独自の視点を垣間見ることができます。

人物

新庄祐治郎は、その経歴から見て、行政手腕に優れた官僚であったと考えられます。一方で、政治的な駆け引きや調整も必要とされる県知事という立場では、その手腕が必ずしも常に評価されたわけではありません。また、退任時の落書きのエピソードからも、型破りな一面が伺えます。彼の著書からは、当時の国際情勢に対する深い関心と独自の視点を持っていたことがわかります。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年。

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