新延拳

新延 拳

1953年2月26日に東京都に生まれた新延拳（本名・正憲）は、日本の現代詩人として知られています。そのキャリアはユニークで、企業人としての道と詩人としての活動を並行して歩んできました。

学業では、1976年に東京大学経済学部を卒業。その後、米国へ渡り、1982年にインディアナ大学の経営大学院で修士課程（MBA）を修了しました。帰国後、同年に日本国有鉄道に入社し、民営化後は東日本旅客鉄道株式会社に勤務。企業では要職を歴任し、高崎支社の総務部長を務めたほか、厚生部長なども経験しました。さらに、財団法人運輸調査局の理事、国立病院機構の理事（労務担当）、そしてSRAホールディングスの常勤監査役など、幅広い分野で組織運営に関わりました。

一方で、文学の世界では詩人としての才能を開花させます。詩誌「歴程」に所属し、精力的に作品を発表。その詩集は高い評価を受け、数々の文学賞に輝いています。2001年に刊行された詩集『わが祝日に』では、第27回地球賞と第1回詩と創造賞をダブル受賞。また、2008年発表の詩集『永遠の蛇口』では、第4回更科源蔵文学賞を受賞するなど、現代詩壇において重要な地位を確立しました。

文学界への貢献は詩作に留まりません。2017年度には日本現代詩人会の理事長を務め、日本の現代詩の振興に尽力しました。また、教育活動にも熱心で、明治大学リバティアカデミーで講師として教鞭をとるなど、次世代への詩の普及にも貢献しています。

新延拳の主な著書としては、以下の詩集があります。

『紙飛行機』（紙鳶社、1994年）
『蹼』（21世紀詩人叢書、土曜美術社出版販売、1996年）
『百年の昼寝 詩集』（土曜美術社出版販売、1998年）
『わが祝日に』（書肆山田、2001年）
『雲を飼う』（思潮社、2005年）
『永遠の蛇口』（書肆山田、2008年）
『背後の時計』（書肆山田、2011年）
『わが流刑地に』（思潮社、2015年）
* 『虫を飼い慣らす男の告白』（思潮社、2018年）

また、共編著として木島始氏、石原武氏と共に『バイリンガル四行連詩集〈情熱〉の巻その他』（土曜美術社出版販売、2003年）があります。翻訳も手掛けており、アンドレア・ペドリック作、ジル・ムントン絵の『どうぶつれっしゃしゅっぱつしんこう! かぞえてみようかわいいどうぶつのおきゃくさん しかけえほん』（交通新聞社、2007年）を邦訳しています。

企業での経験を通じて培われた複眼的視点と、詩人としての繊細な感性が融合した新延拳の作品は、現代社会を生きる人々の心に響く深遠な世界を描き出しています。

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