更科源蔵

更科源蔵：詩とアイヌ文化への情熱を捧げた生涯

更科源蔵（1904年1月27日 - 1985年9月25日）は、詩人、アイヌ文化研究家として知られています。新潟県からの開拓農民の家に、北海道川上郡弟子屈町で生まれました。出生届の遅れから戸籍上は2月15日生まれとなっています。

麻布獣医畜産学校を中退後、故郷に戻り、詩作を始めました。詩誌『リリー』や『潮霧』を刊行し、高村光太郎や尾崎喜八らに影響を受けました。1925年には「抒情詩」で尾崎喜八の目に留まり入選を果たし、真壁仁、伊藤整らとの交流を深めます。1927年には『港街』を創刊しました。

1930年には、開拓農民とアイヌの人々の現実を描いた詩集『種薯』を刊行。1929年から1931年にかけて地元で代用教員を務めましたが、その後解雇され、札幌市に移り住み、様々な職業を転々としながら詩作とアイヌ文化研究に打ち込みました。

戦後も、アイヌ文化研究家、詩人として精力的に活動を続けました。1946年には詩誌「野性」を創刊。1951年、北海道文化賞を受賞。1966年には北海学園大学教授に就任。1967年、『アイヌの伝統音楽』でNHK放送文化賞を受賞。1968年には北海道新聞文化賞を受賞。北海道立文学館の開設にも尽力し、初代理事長を務めました。

1985年9月25日、脳梗塞のため札幌厚生病院で死去。札幌市藤野聖山園に埋葬されています。戒名は詠心院秋雲良源居士。

著書一覧

『種薯』北緯五十度社 1930
『コタン生物記』北方出版社 1942
『凍原の歌 詩集』フタバ書院成光館 1943
『北の国の物語』大鵬社 1944
『北海道絵本』川上澄生画 日本交通公社札幌支社 1949
『熊祭』楡書房（北方文化写真シリーズ 第1）1955
『北海道伝説集 アイヌ篇』楡書房 1955
『北海道の旅』社会思想研究会出版部 1960
『アイヌ民話集』北書房 1963
『熊牛原野　北海道の荒野に敗れるまで』広報新書 1965
『アイヌ語地名解 北海道地名の起源』北書房 1966
『アイヌの神話 カメラ紀行』掛川源一郎 写真 淡交新社 1967
『アイヌの四季』掛川源一郎 写真 淡交新社 1968
『アイヌ 歴史と民俗』社会思想社 1968
『アイヌと日本人 伝承による交渉史』日本放送出版協会 1970
『旅の博物誌』北書房 1970
『松浦武四郎 蝦夷への照射』淡交社 1973
『更科源蔵詩集』佐々木逸郎編 北海道編集センター 1973
『アイヌ文学の生活誌』日本放送出版協会 1973
『北海道・草原の歴史から』新潮社 1975
『思い出の伊藤整』北書房 1975
『北方動物記』北海道出版企画センター 1976
『行雲 詩集』東海大学出版会 1977
『札幌放浪記』創樹社 1979
『原野』法政大学出版局 1980
『松浦武四郎 アイヌ人物誌』農山漁村文化協会 1981
『更科源蔵 アイヌ関係著作集』全10巻 みやま書房 1981-1984
『わが師 わが友』北海道新聞社 1985
『更科源蔵詩集』木津川昭夫編 土曜美術社 1986
『青春の原野』北海タイムス社 1987
* 『更科源蔵滞京日記 昭和二十年』北海道立文学館 2004

児童文学も多数手がけています。

更科源蔵は、詩作とアイヌ文化研究を通して、北海道の歴史と文化に深く貢献した人物として、その功績は今もなお語り継がれています。

もう一度検索